ビットコインと金(ゴールド)の比較:ビットコインは「安全資産」なのか?
中東情勢の急激な悪化や、米国のマクロ経済政策に対する高い不透明感を背景に、市場では再び「安全資産」への関心が高まっています。
このような状況の中で、ビットコイン(BTC)と金(ゴールド/XAU)の価格動向には明確な乖離が見られます。ビットコインは105,000ドル前後で足踏み状態にある一方、金は上昇を続け、史上最高値に迫る動きを見せています。
この記事では、ビットコインと金(ゴールド)を比較して、「ビットコインは安全資産か」などの問題について徹底解説していきます。
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| 目次 |
ビットコインとゴールド(金):市場動向の比較
ビットコイン(BTC)の市場動向
ビットコイン(BTC)は11万ドルの大台を一時突破した後、短期的な上昇モメンタムが弱まる。現在は高値圏でのもみ合いが続いており、ボラティリティは拡大しつつも方向感に欠ける横ばい状態です。
BTCUSDTのチャート

出典:BTCC
金(ゴールド)の市場動向
金現物(ゴールド)は全体として安定的かつ継続的な上昇トレンドを維持。現在の価格は1オンスあたり約3,450ドル付近で推移しており、年初来高値に再び接近しています。
XAUUSDのチャート

出典:TradingView
ビットコインは安全資産なのか?リスク回避できるか?
まず、金における「避難資産」としての論理を見てみましょう。
金は言うまでもなく伝統的なセーフヘイブン(安全資産)の代表格であり、地政学的リスクの高まりが買い材料になります。
たとえば、現在のようにイスラエルがイランを空爆し中東情勢が急変している局面では、歴史的にも金がより強く選好されやすい傾向があります。金は世界各国の中央銀行が保有する準備資産としての地位が確立されており、その信頼性は揺るぎません。
欧州中央銀行(ECB)が6月11日に公表したレポートによると、金は2023年時点で世界の外貨準備資産の20%を占めており、ユーロの16%を上回り、ドルの46%に次ぐ規模となっています。
また、世界の中央銀行による金の保有量は、第二次世界大戦後のブレトンウッズ体制時代の最高水準に近づいているとも指摘されています。
さらに、金の投資家層には中央銀行、年金基金、政府系ファンド(SWF)などが多く、リスク回避ニーズが理性的である点も注目されます。これらの投資家はエントリーのタイミングを慎重に見極めており、売買も穏やかな傾向があるため、金価格は多くの場合安定した値動きを示します。
一方で、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)に関しては、「安全資産」としての性格はよりマクロ経済的な文脈に依存しています。ビットコイン法定通貨の価値下落に対するヘッジやインフレ対策資産としての「新たな安全資産」ストーリーを築いています。
このため、世界的な金融緩和の局面においては、ビットコインなどの暗号資産が「リスク回避資産」として機能しやすい構造は、依然として有効だと考えられます。
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ビットコインの将来性・今後の見通し
現在のところ、米連邦準備制度(FRB)は明確な利下げシグナルを発しておらず、ETFへの資金流入も鈍化してきていることから、ビットコインの短期的な上昇モメンタムにはやや欠ける展開となっています。そのため、ビットコイン価格は一時的な高値をつけた後、反落・調整局面に入っています。
ビットコイン市場の投資家心理は、取引所でのETF流量やオンチェーンの活発度に大きく左右される傾向があり、リスク選好の変化に敏感です。
したがって、ビットコインが高値を更新した後もマクロ環境が根本的に変化していない場合、ロングポジションを取っていた大口投資家(通称:クジラ)による利益確定の売りが強まり、市場は短期的な裁定取引(アービトラージ)主体の相場にシフトしやすくなります。
今後の展望まとめ
5月の米国CPI低下
マクロ環境に目を向けると、5月の米国CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことで、年後半にFRBが利下げに踏み切るとの期待感が強まっています。
米国による利下げ実施
現在、金利先物市場が織り込む利下げの可能性は、「年内に2回の利下げ」「9月の利下げ実施確率は76.3%」となっており、年内初回利下げが現実味を帯びてくる中で、ビットコインなど「インフレに強い資産」への関心はさらに高まる可能性があります。
関税の引き上げ
また、関税の引き上げが生活必需品の価格に与える影響も今後の物価上昇圧力として無視できません。BTCCのアナリストチームによると、中東地域の地政学リスクが今後原油価格の急騰を招く恐れがあり、それにより米国のインフレが粘着性を保つリスクもあるとの見解です。
米経済指標の鈍化
さらに、米国の経済指標の鈍化傾向を踏まえると、同国経済はしばらくスタグフレーション的な環境に陥る可能性があり、これは暗号資産にとって追い風となるマクロシナリオと言えるでしょう。
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