SolsticeとCor Primeが歴史的取引を完了:パブリックチェーン上でステーブルコインによる機関投資家向けレポ取引を実現
伝統的金融の壁を破る――ブロックチェーンが機関向け市場に本格参入。
デジタル資産管理のSolsticeと金融サービスプロバイダーのCor Primeが、パブリックブロックチェーン上でステーブルコインを用いた機関投資家向けレポ(現先)取引を実行した。取引の詳細金額は非公開だが、この実証は規制のグレーゾーンをすり抜けながら、数十兆円規模のレポ市場への侵食を開始したことを意味する。
従来のレポ取引は、複雑な仲介業者と閉鎖的なシステムに依存していた。今回の取引は、そのプロセスをスマートコントラクトと透明性のある台帳に置き換えた。担保の移動、利息の支払い、決済のすべてがオンチェーンで完結し、取引相手方リスクと運用コストを劇的に削減する。
ステーブルコインが鍵を握る
取引の決済には、米ドルにペッグしたステーブルコインが使用された。これにより、従来の銀行システムを経由することなく、24時間365日の即時決済が可能になった。機関投資家は、現金同等物の流動性を保ちながら、ブロックチェーンが提供する効率性を享受できる新たな道筋を得た。
「信頼」から「検証可能なコード」へ
この取引が示す核心的な転換は、信頼の源泉だ。従来は信用のある金融機関が仲介者として「信頼」を提供してきた。今回のモデルでは、その役割がオープンソースのスマートコントラクトと不変の台帳に移行する。仲介手数料を支払う代わりに、ネットワーク手数料を支払う構造だ――一部の金融機関にとっては、まさに悪夢のようなシナリオと言える。
金融の未来は、もはやウォール街の談話室では決まらない。グローバルなパブリックネットワーク上で、リアルタイムに構築されつつある。今回の取引は、その未来が単なる概念ではなく、実際に動き出したことを告げる確かな証拠だ。伝統的金融が複雑な規則とレガシーシステムで身を守る間に、ブロックチェーンはその根本的な効率性で、ゆっくりと確実に土台を浸食している。
2025年12月23日、分散型クレジット市場のSolstice Labs(ソルスティス・ラボ)は、機関投資家向け仮想通貨(仮想通貨)プラットフォームのCor Prime(コー・プライム)とともにパブリックブロックチェーン上で初となる「機関投資家向けのステーブルコイン同士のレポ取引」を完了したと発表した。この取引にはMembrane Labs(メンブレン・ラビ)もインフラ提供者として参画し、Solana(ソラナ)とEthereum(イーサリアム)のネットワーク上で実行された。
レポ取引とは、保有する資産を担保に一時的に資金を借り入れ、将来的に買い戻すことを約束することによって短期資金を調達する金融手法だ。TradFi(伝統的金融)では国債などが担保に使われるが、今回はSolsticeのステーブルコイン「USX」を「担保」に、Cor Primeが「USDC(USDコイン)」を「現金」として貸し出した。
その意義は、機関投資家向けに設計されている点だ。TradFiで一般的な法的枠組みと信用インフラをブロックチェーン上に再現することで、機関投資家に求められるコンプライアンスやリスク管理を担保しつつ、市場参加の敷居を下げる狙いがある。DeFiでは一般的なオーバーコラテラライズド(過剰担保)ローンや自動貸借プールと異なり、レポは透明性や法的な確実性を兼ね備え、より洗練された資金調達手段として受け入れられる可能性がある。
また、ステーブルコインで行う意味も大きい。ペッグした資産に対する価格変動が極めて小さいため、短期資金取引における価値保存手段として適しており、オンチェーンでの移転完了までのスピードや透明性によってグローバルな決済アクセスと相性がよい。USXとUSDCのようなステーブルコインを用いることで、従来の銀行間市場に匹敵する流動性供給がブロックチェーン上で可能になる。
今回の取引は、パブリックブロックチェーン上に「標準化された資金調達市場」が構築される第一歩となるだろう。ステーブルコイン市場における資金調達コストの低減、ヘッジ戦略の高度化、オンチェーン金融の成熟などによって、数兆ドル規模のレポ市場がオンチェーンへと移行する歴史的な転換点になるかもしれない。
|文・編集:井上俊彦
|画像:SOLstice Labs
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