暗号資産の新たな転換点：ドルのオンチェーン化、トランプ脱感作、そしてビットコインの次なるステージ

著者：c, dora

最終更新日: 07/14/2025 15:46

市場がトランプの影響から脱却しつつあり、ステーブルコインの規制が急速に整備され、ビットコインが史上最高値を更新する中、暗号資産市場における資産ロジックが大きく変化しつつあります。

ドルの「オンチェーン化」、ステーブルコインの法整備、そして市場流動性の市場主導化。この新たな文脈において、ビットコインとその他の暗号資産は「オンチェーン・ドル経済」の価値アンカーとして再評価され始めています。

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1. トランプ政策への脱感作と、マーケットは再びファンダメンタルズ重視へ

1. トランプ政策への脱感作と、マーケットは再びファンダメンタルズ重視へ

かつてはトランプ氏の一言が株式市場を急落させ、金価格を急騰させることもありました。しかし現在、市場は彼の「関税発言」に対して鈍感になっています。この変化の背景には、投資家の注目が政治から経済のファンダメンタルズへとシフトしていることがあります。

4月以降、トランプ氏の発言に対する市場の反応は鈍化。繰り返される発言の矛盾に投資家が慣れたことや、経済指標の改善が説得力を持ってきたことが要因です。

最新のPMI（購買担当者景気指数）では、アメリカ、ヨーロッパ、ブラジル、インドの製造業が同時に回復基調にあります。FRBの年内利下げ観測も強く、欧州中央銀行はすでに金融緩和を開始しています。これにより、経済ファンダメンタルズが市場の「主役」となり、政治的不確実性は「背景音」に退きつつあります。

トランプ氏の影響力低下とは対照的に、米議会による暗号資産関連の立法は急ピッチで進められています。

「暗号資産立法月」とも称される7月、下院では《GENIUSステーブルコイン法案》や《デジタル資産市場の明確化法案》を含む3つの主要法案が集中的に審議されています。特にステーブルコイン法案では、ドルや高流動性資産による100％裏付け、年次監査の義務化、発行者の登録制度などが明文化されました。

これは米国が「法に準拠したオンチェーン・ドル」システムの構築を進めている明確なサインです。ステーブルコインをFRBへの挑戦と捉えるのではなく、むしろデジタル時代におけるドルの国際化と流通効率向上の手段として活用する動きといえます。

フィンテック企業や伝統的な銀行、決済大手が合法的な発行者となることで、ドルの利用可能な場面が大きく広がるでしょう。グローバルなデジタル資産取引、越境決済、スマートコントラクトの価格基準として、ステーブルコインはドルの存在感を一層強化すると見られています。

BTCCの相場データによると、7月14日時点でビットコインは12万2,600ドルまで上昇し、史上初めて12万ドルの大台を突破しました。しかし今回は、過去のようなFOMO（取り残される恐怖）による個人投資家の熱狂が見られません。

Googleトレンドによれば、「ビットコイン」という検索語の人気は2021年や2017年と比べても低調です。

この静かな上昇の背景には、機関投資家による資金流入があります。ETFを通じた資金の流入、ステーブルコインの発行量の回復、オンチェーン取引の活性化など、構造的な資産配分の変化がその原動力となっています。

さらに、ステーブルコインの合法化はこの傾向を加速させる要因です。金融機関が合法的にオンチェーン・ドルを発行できるようになれば、資金運用の自由度が一気に高まり、ビットコインはその「価値の避難所」としての地位をさらに強固にするでしょう。

このような金融エコシステムの大変革期において、投資家はポートフォリオ構成を再考する必要があります。

インフレ耐性資産を中核に： FRBの利下げ観測と、ドル流通の市場化がインフレ制御力を低下させる可能性があり、金やビットコインなどの希少資産は引き続き有力な選択肢です。
株式市場は回復期待の恩恵を受ける可能性： 米欧の金融緩和とPMIの改善が進む中、ハイテク株や新興市場株に構造的なチャンスが生まれる可能性があります。ただし、政策変動による短期的な調整リスクには注意が必要です。
ドル資産は「信用」と「流動性」の違いに注目： 短期的にドル流動性は改善傾向にありますが、中長期的には信用面に課題が残ります。長期ドル債のデュレーションは短縮し、為替リスクの管理が求められます。
オンチェーンに対応した規制準拠型プロジェクトを優先： イーサリアム、コンプライアンス対応ステーブルコイン基盤、RWA（実資産トークン）関連資産は、今後の受益候補とされます。