NVIDIAジェンセン・フアン氏、マスクの「テラファブ」に直言…「TSMCの仕事は極めて困難」
NVIDIAのCEOジェンセン・フアン氏が、イーーロン・マスク氏の半導体製造構想「テラファブ」について厳しい見解を示した。TSMCの半導体製造技術の難易度を強調し、新規参入者の挑戦が容易でないことを指摘した。
TSMCの技術的優位性と課題
ジェンセン・フアンNVIDIA CEOは、TSMCがAI時代における半導体製造で果たす役割について「極めて困難で複雑な仕事」と表現。特に最先端プロセス技術の開発と量産化の難しさを強調した。同氏は「TSMCが築き上げた製造技術(ファブリケーション)は単なる工場運営以上の『芸術(ARtistry)』だ」と述べ、同社の技術的優位性を称賛した。
この発言は、テスラCEOイーーロン・マスク氏が計画している「テラファブ」構想への間接的な批判と見られている。マスク氏は自社で大規模な半導体製造施設を建設する意向を示しているが、フアン氏は「半導体製造には単なる資本投入以上の専門技術が必要」と指摘している。
AI時代の半導体需要急増
AI技術の急速な発展に伴い、GPT-5などの次世代AIモデル向け半導体需要が爆発的に増加。TSMCは主要な供給元として、1兆4000億ウォン(約1400億円)規模の設備投資を計画している。フアン氏は「AI時代においてTSMCの役割はさらに重要になる」と述べ、同社の戦略的重要性を強調した。
業界関係者によると、最先端半導体製造には100以上の工程が必要で、各工程の精度管理が求められる。TSMCはこの複雑なプロセスを管理する独自技術を有しており、これが同社の競争力の源泉となっている。
「テラファブ」構想への疑問
フアン氏は「テラファブ」のような大規模プロジェクトについて、「単なる規模の拡大では解決できない技術的課題がある」と指摘。半導体製造には「規模の経済だけでなく、技術の集積が不可欠」と述べ、新規参入者の困難さを強調した。
TSMCの関係者も「当社の技術は30年以上かけて築き上げたもの」と述べ、短期間での技術習得が困難であることを示唆。同社はAI向け半導体の需要増に対応するため、新たな製造技術の開発を加速させている。
業界の反応と今後の展望
半導体業界では、マスク氏の「テラファブ」構想に対して懐疑的な見方が多い。あるアナリストは「自動車メーカーが半導体製造に参入するのは、半導体メーカーが自動車製造に参入するようなもの」と例え、分野の違いによる難しさを指摘した。
一方で、一部の専門家は「テスラの垂直統合戦略が成功すれば、業界に新たな潮流をもたらす可能性がある」と期待感も示している。ただし、実現には長期間と多大な投資が必要と見られている。
市場調査会社WCCFの最新レポートによると、AI半導体市場は2025年までに年間成長率35%で拡大すると予想されており、製造能力の確保が各社の課題となっている。