マイクロン、ニューヨーク州チップ工場の稼働を2~3年延期…最初のファブは2030年末に稼働予定
米国半導体大手のマイクロン・テクノロジーが、ニューーヨーク州に建設予定の半導体工場の稼働開始を2~3年延期し、最初のファブ(製造工場)が2030年末に稼働開始する見込みであることが明らかになりました。同社は政府からの補助金獲得を目指しており、プロジェクトの遅れは半導体業界全体のサプライチェーンに影響を与える可能性があります。
プロジェクト遅延の背景
マイクロンは2022年、ニューヨーク州クレイ近郊に半導体メモリ製造施設を建設する計画を発表していました。当初は2028年頃の稼働開始を目指していましたが、最新の発表では2030年末まで延期される見込みです。この遅れにより、約4500人の雇用創出も当初予定より遅れることになります。
業界関係者によると、遅延の主な要因は「政府補助金の承認プロセスの遅れ」と「半導体需要の変動」にあるとのこと。マイクロンは連邦政府からチップス法に基づく補助金を申請中ですが、審査に予想以上の時間がかかっている状況です。
投資規模と雇用創出
このプロジェクトには総額61億ドル(約8兆9000億円)の投資が予定されており、完成すれば米国東海岸で最大級の半導体製造拠点となります。マイクロンは12億ドル(約1700億円)の初期投資を既に行っており、34億ドル(約4950億円)分の設備投資を追加で計画しています。
ニューーヨーク州経済開発公社(OCIDA)の関係者は「このプロジェクトは地域経済にとって極めて重要で、単なる工場建設以上の意味を持つ」とコメント。約4500人の直接雇用に加え、間接的な雇用効果も期待されています。
業界専門家の見解
半導体業界アナリストのジェームズ・モンロー氏は「マイクロンの遅延決定は、半導体業界全体の投資環境の不確実性を反映している」と指摘。「1、2番目のファブ建設スケジュールが当初計画より3~4年遅れることは、業界関係者の間で以前から予想されていた」と述べています。
BTCCのリサーサーチチームは「半導体メーカー各社が政府補助金の配分を待っている状況で、マイクロンが慎重な姿勢を取るのは理解できる」と分析。「特にメモリ市場では需給バランスが敏感なため、過剰投資を避ける動きが強まっている」と付け加えました。
今後の見通し
マイクロンは2041年までに4つの製造施設を完成させる計画ですが、最初の2施設の遅れが全体のスケジュールに与える影響が懸念されています。同社は2026年までに建設許可を取得する予定で、現在環境影響評価を進めています。
地元関係者によると、8月に行われた公聴会では17項目の懸念事項が指摘され、そのうち2項目(約8400万ドル相当)について追加協議が必要と判断されました。これらの課題解決がプロジェクト再開の鍵を握るとみられています。