【CZ警告】AIと仮想通貨を逃す国は衰退へ:米国と日本の温度差が加速する現実
世界最大の仮想通貨取引所バイナンス創設者CZ(チャンポン・ジャオ)氏が緊急警告を発した。インターネット、ブロックチェーン、AIのいずれかを欠く国家は『深刻な不利益』を被り、経済衰退リスクに直面すると指摘。特に米国ではトランプ政権による規制方針の180度転換が進行中だが、日本ではFSA(金融庁)主導の慎重なアプローチとの温度差が拡大。CZ氏は『米国は強力な自己修正能力で進化を続ける』と楽観視する一方、グローバルな流動性獲得競争で出遅れる国の危機を強調した。
財務長官自らが法整備を急かす異例の展開
CZ氏が語る「米国の方針転換」を裏付ける動きは、政権中枢からも出てきています。スコット・ベッセント米財務長官は4月9日、自身のXに仮想通貨市場構造法案(通称クラリティー法案)について、上院銀行委員会での審議を急ぎ、トランプ大統領の署名段階まで一気に押し上げるよう求める投稿を行いました。
Congress has spent the better part of half a decade trying to pass a framework to onshore the future of finance.
It is time for @BankingGOP to hold a markup and send the CLARITY Act to President Trump’s desk.
Senate time is precious, and now is the time to act.
— Treasury Secretary Scott Bessent (@SecScottBessent) April 9, 2026
同氏は併せてウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿記事のなかで世界のデジタル資産時価総額が直近1年で2〜3兆ドル(約318〜477兆円)の水準で推移していること、米国民のおよそ6人に1人が何らかのデジタル資産を保有していること、大手金融機関が関連商品を投入し始めていること、そしてブロックチェーンがRWA(現実資産)の決済・取引インフラとして存在感を増していることを根拠に仮想通貨はもはや「採用するか否かを議論する段階」を過ぎたと論じています。
クラリティー法案は米国の仮想通貨市場に統一的な行動規範を与える内容として業界の注目を集めてきた法案です。
下院は昨年7月に通過したものの、ステーブルコインへの利回り付与をどう扱うか、DeFi(分散型金融)にどこまで規制を及ぼすか、政府関係者の倫理規定をどう設計するかといった論点で上院での合意形成が難航し、現在まで足踏みが続いています。
ベッセント氏は、明確なルールを求める仮想通貨企業や開発者がアブダビやシンガポールといった規制の整った国に拠点を移している現状にも触れており、すでに施行済みのステーブルコイン関連法「ジーニアス法」を機能させるうえでもクラリティー法案の成立が不可欠だと強調しています。最終的に同氏は議会がこの法案を承認すれば、次世代の金融イノベーションを米国の制度・米ドル・米国のインフラの上に着地させられると結論づけました。
日本はAIを推進、仮想通貨はなお規制論が中心
CZ氏の言う「インターネット・ブロックチェーン・AIの3つを逃せば国家の損失」という指摘は日本の現状にも示唆を与えるものです。
AI領域に関しては日本政府は日本初となる「人工知能基本計画」を閣議決定し、すでに具体的な施策を動かす段階に入っています。基本計画の決定とあわせて、政府は大規模なAI関連投資を進める方針を打ち出し、AIとロボットを組み合わせた「フィジカルAI」や信頼できる国産基盤モデルの開発推進などを掲げました。
政府専用AI「源内」についても、政府職員による利用を本格化させる計画が進んでおり、行政実務への導入が現実の政策課題となっています。高市早苗首相自身も信頼できるAIを世界とともに創り上げる姿勢を示しており、日本での「AIサミット」開催にも意欲を見せており、AIを国家戦略の中核に据える姿勢が鮮明になっています。
一方でブロックチェーンや仮想通貨に関する日本の動きは、産業育成そのものよりも、制度整備や規制再編の議論が中心となっていると言えます。
金融庁は仮想通貨について、現行の資金決済法から金融商品取引法の枠組みへ移行させる方向で検討を進めており、制度改正に向けた議論が本格化しています。投資家保護やインサイダー規制、情報開示ルールの整備といった論点が前面に出ており、米国のクラリティー法案のように、自国に企業や流動性を呼び込むことを前面に掲げた制度設計とは温度差があります。
分離課税や仮想通貨を対象とするETFの扱いも論点にはなっているものの、AI基本計画のような国家規模の推進フレームと比べると政策の重心には明確な違いがあると言えるでしょう。
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記事ソース:WSJ、首相官邸、資料
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