UCバークレー研究:億万長者の実効税率24%の核心は「法人税」にあり(2025年8月26日)
カリフォルニア大学バークレー校の最新研究によると、アメリカの億万長者たちの実効税率は平均24%に達し、その核心的要因は法人税にあることが明らかになりました。この発見は、富裕層の税負担を巡る議論に新たな視点を提供するものです。
億万長者の実効税率の実態
UCバークレーの研究チームがIRS(米国国税庁)のデータを分析した結果、2018年から2020年にかけてアメリカの億万長者400人の平均実効税率は23.8%であることが判明しました。これは、中間層の8.2%という実効税率と比較すると約3倍の水準です。
研究を主導したガブリエル・ズックマン教授は「富裕層の高い実効税率の背景には、彼らの収入の大部分が法人税の対象となる企業利益から構成されていることが関係している」と指摘します。
法人税が富裕層税率を押し上げるメカニズム
研究チームによれば、億万長者の所得の約40%が法人税の対象となる企業利益から発生しています。法人税率が21%(2017年税制改革後)であることを考慮すると、これが富裕層の実効税率を押し上げる主要因となっています。
「個人所得税の最高税率が37%であっても、富裕層の多くは企業を通じた所得が中心であるため、実効税率はそれほど高くならない」とズックマン教授は説明します。
税制改革への示唆
この研究結果は、近年活発化している富裕層課税強化論議に重要なデータを提供しています。AEI(アメリカンエンタープライズ研究所)の上級研究員マーク・ジーグラー氏は「法人税と個人所得税の連動性を考慮した税制設計が必要だ」とコメントしています。
特に注目されるのは、富裕層の11.4%の所得が未実現キャピタルゲインである点で、これが税逃れの手段として利用されている可能性が指摘されています。
今後の税政策への影響
バイデン政権が提案する「億万長者最低税」法案(最低15%の実効税率を義務付ける案)について、研究チームは「法人税構造の改革こそが本質的な解決策だ」と提言しています。
ズックマン教授は「単に税率を上げるのではなく、税制の抜け穴を塞ぎ、法人税と個人所得税の整合性を高めることが重要」と強調します。
富裕層税制の国際比較
アメリカの億万長者税率24%は、欧州諸国と比較して中間的な水準です。フランスやスウェーーデンなどの北欧諸国では30-45%の実効税率が課されています。
研究チームは「税率そのものよりも、税制の公平性と効率性のバランスが重要だ」と結論付けています。
401(k)などの税制優遇措置の影響
興味深いことに、研究では富裕層の401(k)など退職金制度の利用が、実効税率をさらに引き下げる要因となっていることも明らかになりました。
「税制優遇措置は中間層よりも高所得層により大きな利益をもたらす傾向がある」と研究チームは指摘します。
今後の研究課題
UCバークレーチームは今後、国際的な税制比較や、デジタル経済下での新しい課税モデルの研究に着手する予定です。
ズックマン教授は「グローバル化が進む中で、税制は国境を越えた協調が不可欠だ」と述べ、国際課税協力の重要性を強調しました。
投資家へのアドバイス
この研究結果を受けて、BTCCアナリストチームは「税制変更のリスクを考慮した長期的な資産配分が重要」とアドバイスしています。
特に、法人税改革の動向が株式市場に与える影響について、注意深く監視する必要があると指摘します。