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コインチェック、デジタル資産運用大手3iQを買収―CARF対応で仮想通貨市場の覇権争いに本格参戦

コインチェック、デジタル資産運用大手3iQを買収―CARF対応で仮想通貨市場の覇権争いに本格参戦

Published:
2026-01-09 14:03:54
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コインチェックグループ、デジタル資産運用大手3iQ買収とCARF対応で事業拡大

日本の仮想通貨取引所が、カナダの機関投資家向けデジタル資産運用大手を買収。規制の波をビジネスチャンスに変える動きが加速している。

戦略的拡大の一手

コインチェックグループが3iQの買収を完了した。この動きは、単なるM&Aを超えた戦略的意味を持つ。買収により、同社は北米の機関投資家市場への直接的な足がかりを獲得。ETFや上場投資信託などの規制対応商品のノウハウを一気に吸収する。

CARF対応が招いた業界再編

背景にあるのは、経済協力開発機構(OECD)が主導する「仮想通貨報告枠組み(CARF)」の導入圧力だ。2026年までに各国で施行が迫るこの国際規格は、取引所の報告義務を大幅に強化。対応できないプレイヤーは市場から退場を余儀なくされる。

コインチェックはこの規制変化を先読み。3iQが持つグローバルコンプライアンス体制と機関向け商品開発力を丸ごと買い取ることで、逆境を飛躍の機会に変えようとしている。まるで、増税を見越して節税コンサル会社を買収するような戦略だ―伝統金融界ではよくある話だが、仮想通貨業界でここまで露骨な動きは珍しい。

仮想通貨市場の新たな戦場

この買収は、仮想通貨業界の成熟を示す象徴的なイベントとなった。もはや「テクノロジー主導」だけでは勝てない。規制対応力、機関投資家向けの商品力、グローバルなネットワーク―伝統金融が長年培ってきた要素が、仮想通貨市場でも決定的な競争優位性になりつつある。

コインチェックの次の一手に市場の注目が集まる。買収で得た兵器を、日本市場の囲い込みに使うのか、それともアジア全域への展開に活用するのか。いずれにせよ、仮想通貨取引所の戦いは、単なる手数料競争から、総合的な金融サービスプラットフォーム間の争いに様変わりし始めた。皮肉なことに、仮想通貨が目指した「銀行からの脱却」が、結局は「より洗練された銀行の誕生」を促しているのかもしれない。

機関投資家向けサービス強化へ、カナダ3iQを買収

コインチェックグループは親会社であるマネックスグループから、カナダ・オンタリオ州に拠点を置く3iQの約97%の株式を取得する契約を締結した。同契約では3iQの企業価値を約1億1184万ドルと評価し、コインチェックグループの株式1株あたり4.00ドルの価値で、約2715万株の新株を発行して対価とする。

取引完了までの間、コインチェックグループは少数株主に対しても同等の条件で株式取得を提案する予定である。最大で約81万株を追加発行することで、3iQの100%取得を目指す。取引は規制当局の承認や確認的デューデリジェンスなどの条件を満たした上で、2026年第2四半期中の完了を見込んでいる。

3iQは2012年の設立以来、デジタル資産投資分野で革新的な商品を提供してきた。2017年にカナダで初めて規制下のデジタル資産投資ファンド運用会社となり、2020年には北米初の主要取引所上場ビットコイン・イーサリアムファンドをトロント証券取引所で開始した。2023年には世界初のイーサリアムステーキングETFを、2025年にはソラナステーキングETFやXRP現物ETFを投入するなど、機関投資家向け商品開発で実績を重ねている。

コインチェックグループのゲリー・A・サイマンソン最高経営責任者(CEO)は、「3iQの専門知識と機関投資家向け商品提供能力が、同グループに実証済みの革新性をもたらす。今回の買収により、伝統的金融機関を含む機関投資家や高度な投資家のニーズに応える態勢が強化され、収益向上にも貢献する」とプレスリリースで期待を示した。

グローバル展開加速、昨年から複数の戦略的買収

今回の3iQ買収は、コインチェックグループが推進する国際展開戦略における重要な一手となる。同社は2025年10月にパリを拠点とする機関投資家向け仮想通貨プライムブローカーのAplo SASを、同年3月にはステーキングプラットフォームサービスのNext Finance Techをそれぞれ取得している。

これら一連の買収により、サービスの相乗効果が期待される。3iQとAploは互いの機関投資家顧客に付加価値サービスを提供し、Next Financeはステーキングサービスを各事業体に展開する計画だ。コインチェックグループは上場企業としてのコスト負担を、より大規模で多様化した収益基盤に分散させることも可能になる。

親会社のマネックスグループ代表執行役社長CEOの清明祐子氏は、「仮想通貨事業セグメントの再編により、マネックスとコインチェックグループの両株主にとって相互利益となる成長機会が生まれる」と評価した。

資産運用事業と仮想通貨事業の双方で、国際的な成長機会の拡大を見込んでいる。

業界関係者によれば、機関投資家の仮想通貨市場への参入は着実に進んでおり、規制に準拠した投資商品への需要は高まっている。コインチェックグループは日本国内で6年以上連続で仮想通貨取引アプリのダウンロード数首位を維持しており、個人投資家向け基盤と機関投資家向けサービスの融合により、競争力の向上が期待される。

CARF施行で税務透明性向上、利用者に情報提出求める

仮想通貨取引の国際税務報告基準「CARF(Crypto-Asset Reporting FrameWork)」に対応する国内制度が1月1日に施行された。これを受けコインチェックは6日、個人・法人の全利用者に対し、税務上の居住地国情報の提出を要請した。

CARFは経済協力開発機構(OECD)が策定した国際基準で、仮想通貨を利用した国境を越えた脱税や租税回避への対応を目的としている。各国の仮想通貨交換業者が一定条件を満たす利用者の取引情報を自国の税務当局に報告し、その情報を利用者の居住地国税務当局と自動的に交換する仕組みである。銀行口座情報を対象とした共通報告基準(CRS)と同様の枠組みだ。

日本では2024年度税制改正で関連制度が整備され、2026年1月から報告制度が開始された。既存利用者は2026年12月31日までに居住地国情報を届け出る必要がある。仮想通貨交換業者は2027年4月30日までに取引情報を税務署長へ報告し、その情報は租税条約等に基づき各国税務当局と共有される。日本では2027年から税務当局間の自動的情報交換が始まる予定だ。

対象には、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨のほか、4号電子決済手段や一定の金融商品取引法上の権利が含まれる。NFTについても、市場で取引され支払・投資に利用され得る性質のものは対象となる可能性がある。

コインチェックは利用者に対し、情報が提出されない場合や虚偽申告があった場合、法令に基づき罰則が科される可能性があるとして、期限内の対応を呼びかけている。報告対象は原則として税務上の居住地国が外国にある非居住者等に係る取引情報であり、日本居住者の取引が一律に自動報告される制度ではない。

CARFの導入は課税ルールそのものを変更するものではないが、仮想通貨取引に関する情報の国際的な把握と共有が制度として本格化することで、市場は伝統的金融取引と同様に各国税務当局による可視性の高い枠組みに組み込まれる段階に入った。業界の成熟化と透明性向上が、機関投資家の参入障壁を下げる要因になるとの見方もある。

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