1ETHでAIアートNFTを売り上げたHakushi氏、カスタマークラウドのメディア事業に参画―デジタル資産界の新たな潮流か
AI生成アートのNFT市場で、単体作品を1ETHで販売する実績を打ち出したアーティスト、Hakushi氏が、カスタマークラウドのメディア事業部門への参画を決めた。この動きは、クリエイターが自身のIPとコミュニティを基盤に、従来のギャラリーや代理店を介さず直接事業を拡大する新たなモデルを浮き彫りにする。
NFTからメディアへ:クリエイター経済の進化形
デジタル資産で確立した評判とフォロワーを、実体あるメディア事業へ転換する動きが加速している。Hakushi氏のケースは、成功したNFTクリエイターが「次のステージ」としてコンテンツ配信やコミュニティ運営のプラットフォーム構築に乗り出す、一連の流れの典型例だ。これにより、アートの価値は単なるコレクション対象から、持続可能なビジネスを生み出す核へと変容しつつある。
1ETHの壁:心理的価値のマイルストーン
イーサリアム建てで1ETHという価格は、多くのデジタルコレクターにとって重要な心理的閾値だ。この水準での販売実績は、市場からの確かな需要と作品に対する金銭的評価を同時に証明する。伝統的なアート市場が長年かけて築いた「評価の物差し」を、ブロックチェーンとコミュニティの力で短期間に構築したことになる―もちろん、その価格が持続するかどうかは、次のマクロ経済サイクルと、いわゆる「流動性のシャワー」が再び訪れるかどうかに大きく依存する。
カスタマークラウドの思惑:クリエイターを軸としたエコシステム
カスタマークラウドがHakushi氏のようなクリエイターの参画を求める背景には、既存のコンテンツ配信モデルを超えた、より深いエンゲージメントを求めるユーザーへの対応がある。NFTで構築された強固なコミュニティは、単なる視聴者ではなく、投資家兼パトロンとしての性質を帯びており、これはメディア事業にとって理想的な初期ユーザー基盤となる。企業はインフラを提供し、クリエイターはコンテンツとコミュニティを持ち込む―リスクは分散され、成功報酬は(少なくともホワイトペーパー上では)共有される。
金融界からの冷笑的な一言:結局のところ、これはすべて「ナラティブ」を売るビジネスだ。NFT、メディア事業、そして次の「次の大きなもの」―その本質は、人々が信じ、投資したいと思う物語を紡ぎ、パッケージ化することにある。今日のデジタル資産は、テクノロジーというより、現代の錬金術に近いかもしれない。
縮小するNFT市場とクリエイター活動
Hakushi氏は複数の画像生成技術を組み合わせた独自の制作手法により、高密度・高精度な表現を実現している。同氏のNFTコレクション「Royal collection – Twelve extreme colors」は2023年9月、1イーサリアムで販売された。
NFT市場全体の縮小傾向は2025年も継続している。CryptoSlamによると、総供給量は2021年の3,800万個から2025年に13億4,000万個へと3,400%増加したが、販売総額は89億ドルから56億3,000万ドルへ37%減少した。平均販売価格は96ドルとなり、前年の124ドル、ピーク時の400ドルから大幅に下落している。
LATEST: ⚡️ The NFT market expanded to over 1.34 billion tokENS in 2025 while total sales fell 37% to $5.6 billion, with average prices dropping to $96 from $124 year-over-year, according to CryptoSlam. pic.twitter.com/RLUuzrsJQG
— CoinMarkETCap (@CoinMarketCap) January 1, 2026市場時価総額も2022年4月の約170億ドルのピークから下落を続け、2025年1月に92億ドルであったものが12月には24億ドルまで減少し、年間で74%下落した。CoinGeckoのデータでは、時価総額上位10位のNFTコレクションの大半が過去30日間で2桁台の価格下落を記録している。
Hakushi氏は株式会社SHIFT AIに所属し、元大手予備校講師としての経験を生かして生成AIの仕組みや活用方法を伝える教育活動も展開している。BytePlus×NVIDIA AI Summit Japanや東京AI祭などのイベントへの登壇実績があり、AI・人工知能EXPOやコンテストでは審査員を務めている。
実用性重視へシフトするWeb3市場
カスタマークラウドは渋谷を拠点とし、BytePlusのグローバル公式パートナーとしてAIクラウドインフラの展開を推進している。同社は「第2のビットバレー構想」として、AI産業エコシステムの構築を進めており、各分野を代表するAI人材の参画を順次発表していく方針を示している。
NFT市場では、投機的なデジタルアートから実用的な分野への転換が進んでいる。2025年第2四半期には販売件数が1,250万件を記録し、前四半期比で78%増となった。DappRADArは「NFTが手頃な価格になりつつも、デジタルコレクティブルへの関心は依然として根強い」と分析している。
NFT Sales in 2025
NFTs aren’t dead — they’re evolving.
12.5M sales in Q2 show activity is up, even if prices are down.
And yes, Snoop SOLd 1M NFTs in 30 minutes.
The market’s changing — not vanishing.
🔗 https://t.co/XcjFl4zFF8#NFTs #Web3 pic.twitter.com/fmtCuOfgi0
NFTプラットフォームのラリブルは「取引高の減少は、より健全で持続可能な市場への移行を示している」との見解を示している。パジーペンギンズのようなコレクションは、ウォルマートでの物理的商品展開やモバイルゲーム、スポーツパートナーシップなど、NFT外での実用性を提供することで取引高7億8,600万ドルを達成した。
Hakushi氏は2026年2月7日から11日まで、銀座のGallery WABIにて初個展「精密AIアート展【憧憬】」を開催する予定である。講義、コンテンツ発信、イベント登壇などを通じて、生成AIによる表現の最前線や実践的な知見を発信していく。
生成AIとブロックチェーンの新たな関係性
生成AI技術とブロックチェーン技術の融合は、投機的市場の縮小後も新たな可能性を模索している。NFTにおけるスマートコントラクト機能により、クリエイターは二次流通時にもロイヤリティを受け取ることが可能であり、この仕組みは市場縮小後も維持されている。
2025年1月には、Baseチェーンの取引高が週次ベースで219%上昇するなど、BaseやAptos、Berachain、AbstractChainといった新興チェーンが注目を集めている。これらは低手数料や独自のエコシステムを武器に、多様なユーザーを取り込みつつある。
NFTマーケットプレイス間の競争も継続しており、主要マーケットプレイスの取引収益では、Magic Eden(42.9%)とOPenSea(41.4%)の2強が拮抗している。国内では日産やNTTドコモをはじめとする大企業の参入が継続し、NFT活用の新たな形が模索されている。