「イラン戦争と金価格の逆説」戦争なのに金価格が下落…1オンス5000ドル崩壊危機、「ドルが王」時代の衝撃(2026年3月現在)
2026年3月、国際情勢の緊迫化にも関わらず、金価格が予想外の下落を見せている。伝統的な「安全資産」としての地位が揺らぐ中、市場では「ドル覇権」時代の新たな力学が働いている。本記事では、金価格急落の背景から専門家の分析まで、多角的に解説する。
戦争危機でも金が買われない理由
2026年3月9日時点で、COMEXの金先物価格は1オンス5091ドル(約75万円)まで下落。Reutersのデータによれば、スポット価格は5042ドル(約74.2万円)と、過去1週間で3%以上の下落を記録した。Investing.comのチャートでは5105ドル(約75.2万円)で推移しているものの、2月28日に記録した5400ドル(約79.5万円)の高値から約300ドル(約4.4万円)下落している状況だ。
「ドルが王」時代の金融力学
BullionVaultのアナリストAdrian Ash氏は「金は伝統的に『危機の避難資産』と見なされてきたが、現在の市場ではドルがその役割を奪っている」と指摘。2026年3月現在、ドル指数(DXY)は99.5台を維持しており、3四半期連続で上昇基調が続いている。TradingEconomicsの分析によると、このドル高傾向は今後1.3~1.7%程度続くと予想されている。
原油100ドル突破と金価格の意外な関係
2026年3月時点でWTI原油先物は1バレル100ドルを突破。8ヶ月ぶりの高値となったが、金価格との伝統的な連動性が崩れている。BTCC市場分析チームは「原油高は通常インフレ懸念を生むが、FRBの強硬的な金融引き締め姿勢が金の上昇を抑制している」と解説する。CMEのFedWatchツールによれば、3月18日のFOMCで3.50~3.75%利上げが94%の確率で予想されており、6月までに利上げが続く可能性は48%と試算されている。
5000ドル割れ目前の金市場
City IndexのアナリストFawad Razaqzada氏は「テクニカル分析では5000ドル(約737ドル)の心理的節目が近づいている」と警告。Bloombergの調査では、アナリストの19%が2026年中に金価格が64%下落すると予想しており、「金=安全資産」という常識が問い直されている状況だ。WGCの統計によれば、1990年から2022年までの戦争危機時における金の平均上昇率は7.5%だったが、現在のイラン危機ではこのパターンが崩れている。
専門家が語る今後の見通し
RJOのボブ・ハバーコーン氏は「金市場の混乱はFRB政策への依存度が高すぎることが原因」と指摘。歴史的に金とドルの逆相関は70%程度だったが、現在はその関係性が薄れつつある。BTCCリサーチチームは「短期的なボラティリティに惑わされず、長期的なポートフォリオ分散としての金の役割を見極めるべき時期」とアドバイスしている。