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NFT市場の再定義──バブル完全崩壊で見えてきた知的財産とファンが創る真の成長モデル【N.Avenue club 3期6回ラウンドテーブル・レポート】

NFT市場の再定義──バブル完全崩壊で見えてきた知的財産とファンが創る真の成長モデル【N.Avenue club 3期6回ラウンドテーブル・レポート】

Published:
2025-12-22 16:00:00
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NFTバブルは完全に崩壊した──そしてそれが最高のニュースだ。

投機的な熱狂が消え去った今、市場は知的財産の本質的価値とファンコミュニティの力によって再構築されつつある。これは単なるデジタル収集品の話ではない。所有権、ライセンス、エンゲージメントを根本から変えるパラダイムシフトだ。

バブルの残骸から生まれる持続可能なモデル

高値追い上げの時代は終わった。現在のNFT市場は、短期的な値上がり期待ではなく、長期的なユーティリティとコミュニティ形成に焦点を移している。プロジェクトは、単なる画像ファイルではなく、ファンに真の価値を提供するエコシステムの構築を迫られている。

知的財産がコアアセットになる

クリエイターは、NFTを単なる販売アイテムではなく、IP(知的財産権)拡張の基盤として活用し始めた。所有権の透明性と追跡可能性が、従来のライセンスモデルを凌駕する新たな収益化チャネルを開いている──伝統的な中間業者を切り捨てて。

ファンが成長エンジンを駆動する

最も成功しているプロジェクトは、コミュニティを単なる購入者集団ではなく、コンテンツ共創者として位置づけている。ホルダーはパッシブな投資家ではなく、世界観の拡張に積極的に参加するステークホルダーへと変容している。

金融業界が依然として「デジタルビーズ」と冷笑する一方で、NFTはアーティストの収益構造を再構築し、ファンエンゲージメントの新しい黄金基準を設定し続けている。バブルが弾けたからこそ、本物の価値創造が始まったのだ。

NFT市場の再定義──バブル完全崩壊で見えてきた知的財産とファンが創る真の成長モデル【N.Avenue club 3期6回ラウンドテーブル・レポート】

2021年の熱狂を経て、2023年には3分の1近くへと規模を縮小した世界のNFT市場。しかし、投機的な取引が落ち着いた今こそ、技術の本質的価値が試されるフェーズが到来したとも言える。IP(知的財産)とファンコミュニティの融合は、いかなる「新たな体験価値」を生み出すのか。エンタメやゲーム業界などNFTを単なる投資商品としてではなく「デジタル資産インフラ」として再定義する企業の取り組みとは──。

日本のWeb3ビジネスを加速させる一助となることを目指す会員制のコミュ二ティ「N.Avenue club」は3期6回目のラウンドテーブル(研究会)のテーマを「NFT市場の再定義」とし、12月11日に開催した。会場では、アニモカブランズ(Animoca Brands)の共同創業者のほか、ソニー銀行、コインチェックの担当者によるプレゼンが披露された。実践する企業の事例を聞いた参加者らは、いくつかのテーブルに分かれて意見交換・議論を交わし、NFT再成長のカギを探った。

N.Avenue clubは、ラウンドテーブルを月1回、国内外のゲスト講師を招いて行っているほか、会員企業と関連スタートアップや有識者との交流を促す「ギャザリング」も開催している。

ラウンドテーブルは会員限定のイベントのため、その一部を以下にレポートする。

NFT市場再成長に必要なこと:アニモカ共同創業者

冒頭、アニモカブランズの共同創業者で、EXECutive ChairmanのYat Siu(ヤット・シウ)氏のプレゼンテーションが、事前収録の映像を流す形で披露された。

シウ氏はNFT市場について、2021〜22年のハイプサイクルを経た現在も、月間3〜4億ドル規模の持続可能なビジネスとして機能していると指摘。今後の成長のカギは機関投資家の参入で、特にRWA(Real World Assets)とステーブルコインの領域でNFT技術が重要な役割を果たすと予測した。

また、AIによるコンテンツ生成が盗作問題を引き起こす中、ブロックチェーンは来歴とロイヤルティ追跡の最良の手段となるとした上で、トークンそのものがAIエコノミーのネイティブ資産クラスとなり、AIエージェント間の取引媒体として機能すると予測。NFTは非代替性によってデジタルIDとレピュテーションを記録し、AIエージェントの信用格付けに相当する役割を果たすとの展望も示した。

LiSAツアー、盆栽、ゴルフ来場証明…NFT施策「成功のカギ」:ソニー銀行 金森氏

続くメインセッションで最初に登壇したのは、ソニー銀行株式会社 DX事業企画部長で、BlockBloOM株式会社取締役も務める金森伽野氏。金森氏は、ソニーグループの「機能的価値」と「感性価値」を融合させたNFT活用事例を紹介した。

具体的施策として、アーティスト・シンガーのLiSA全国ツアーでは8会場16公演で色違いのNFTを配布し、全種類制覇したファンにリアルフィギュアを贈呈した取り組みのほか、盆栽アートでは3Dキャプチャ技術を用いてNFT化し、500万円で落札されたケースなどを紹介した。

さらに、JLPGA女子ゴルフでは位置情報を活用した来場証明NFTを発行したといい、地方創生に貢献しているケースとして紹介した。

金森氏によると、同社では「NFT」という用語を避け、「デジタルアイテム」と表現するなど、Web3やクリプトになじみがない人たちへの伝わりやすさ、UXを優先しているという。NFTは体験証明・行動証明に最適な用途で採用し、その成功のカギは3点、全関係者の事業目標満足、ファンへの価値訴求、利便性の高いUXだと説明した。

IPごとに異なる対応が必要:コインチェック 井坂氏

次に登壇したのは、コインチェック株式会社の取締役社長執行役員、井坂友之氏。井坂氏はかつてGREEでのゲームプロデュースを手掛けるなどエンタメ業界での経験が豊富で、その知見をもとに、IP創出パターンの多様性とNFT活用の現実を語った。

井坂氏は、IPには出版発、アニメ発、SNS発、ゲーム発、企業発など複数の創出パターンがあり、それぞれ「熱狂ポイント」が異なると説明。IPホルダーには収益拡大と世界観保守という相反する動機が存在し、この力学が複雑さを生んでいるなどと述べた。

さらにブロックチェーン・NFT活用では、技術者が「永続性」「改ざん不可」を強調する一方、現実には投機的価値が主軸となり、本来意図した体験価値活用は少数派に留まっているなどと指摘した。

Coincheckのパートナー事業では、240万口座・1兆円の預かり資産を基盤にIEOやNFT売買のB2B機能を提供しているといい、コロプラやFanplaなど、デジタルとリアルを連携させた事例を紹介した。終盤には、文化・テクノロジー・金融の力学は組み合わせが難しく、IPごとにまったく異なる対応が必要だとし、「最もエンタメ愛深き交換業者」として業界と共に未来を模索する姿勢を示していた。

NFT活用ビジネスの課題と可能性などについて議論

ラウンドテーブルの後半は、参加者全員が6つのテーブルに分かれディスカッション。テーマは「世界的に認知のある日本IP×NFTでの、新しいファン体験と収益モデルとは?」と「NFT活用ビジネスの課題と可能性とは?」で、サッポロビールや韓国アイドルグループtripleSなどの事例が紹介されたほか、資金調達・ファンにリーチする方法について、さまざまなアイデアが披露された。中には「NFTはあくまで手段であって、NFTを使うことを前提にすると成功しない」といった指摘もあった。

N.Avenue club事務局は、Web3ビジネスに携わっている、または関心のある企業関係者、ビジネスパーソンへの参加を呼び掛けている。

|文:瑞澤 圭
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
|写真:多田圭佑

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