米国経済、高所得層の賃金4.6%上昇 vs 低所得層3.6%上昇…「K字型格差」のリスク高まる
米国経済において、高所得層と低所得層の賃金格差が拡大している。最新データによると、所得上位25%の賃金は前年比4.6%増加したのに対し、下位25%は3.6%の増加にとどまり、経済格差が「K字型」に広がる傾向が強まっている。専門家は、この傾向が続けば社会的不安定要因になると警告している。
米国の賃金格差の現状
米労働統計局のデータ分析によると、2023年第4四半期の賃金動向は明らかな二極化を示している。所得分布の上位25%に属する労働者の賃金は4.6%上昇した一方、下位25%の賃金上昇率は3.6%と、1%ポイントの差が開いた。この傾向は2022年から続いており、特にパンデミック後の経済回復過程で顕著になっている。
経済アナリストのジェームズ・ウィルソン氏は「K字型回復と呼ばれるこの現象は、高スキル職と低スキル職の賃金差が拡大するだけでなく、資産格差も同時に拡大させる危険性がある」と指摘する。実際、上位20%の世帯が全所得の43%を占める一方、下位20%はわずか3%のシェアにとどまっている。
低所得層の苦境
特に深刻なのは低所得層の状況だ。調査によると、低所得世帯の29%が「生活必需品の購入にも苦労している」と回答。これは2023年の27%からさらに悪化した数値である。RSM USのエコノミスト、ジョセフ・ブルース氏は「低所得層の賃金上昇率は名目上の数字に過ぎず、インインフレを考慮すると実質的には購買力が低下している」と説明する。
信用調査会社TransUnionのデータでは、クレジットスコア600以下の低所得者層(約7800万人)の債務不履行率が6.7%に達しており、金融不安が高まっている。2024年には170万件の個人破産が予想され、これは2009年の金融危機時の水準に近い。
金融政策の影響
FRBの利上げ政策がこの格差に拍車をかけているとの指摘もある。高金利環境下では、資産を持つ層は利息収入でさらに富を増やす一方、債務を抱える低所得層は返済負担に苦しむ構造だ。上位10%の世帯が金融資産の22%を保有するのに対し、下位60%はわずか45%のシェアしかない。
BTCCのチーフアナリスト、マイケル・チェン氏は「K字型格差は単なる経済問題ではなく、社会の分断を招く重大なリスク要因だ」と警鐘を鳴らす。「低所得層の購買力が3四半期連続で低下する中、消費主導の経済成長モデルそのものが脅かされている」と指摘する。
今後の見通し
専門家の間では、この傾向が2024年以降も続くとの見方が強い。Fitch Ratingsの予測では、低所得層向けローンのデフォルト率がさらに上昇する可能性があるという。一方で、一部の企業では最低賃金の引上げを自主的に実施する動きも出始めている。
経済学者のサラ・ジョンソン教授は「持続可能な成長のためには、単なる景気刺激策ではなく、教育と職業訓練への投資を通じた構造改革が必要だ」と提言する。特にAI技術の進展が雇用構造に与える影響を考慮すると、早急な政策対応が求められている。