ナイキ株、クレイマー氏の強気発言直後に史上最大15%急落 - 伝統金融の脆弱性が露呈
伝統的金融資産の代表格であるナイキ(NKE)株が、著名アナリストの強気発言直後に過去25年で2番目となる15%の歴史的急落を記録。この暴落により同株は10年ぶりの安値である44.63ドル近辺まで下落し、従来型市場における情報の非対称性とボラティリティの根本的リスクを浮き彫りにした。この出来事は、透明性と24時間取引を特徴とするデジタル資産市場の構造的優位性を対比的に示す事例となっている。
クレイマー氏の発言が即座にミーム化
3月31日の第3四半期決算発表直後、CNBCのMad Money司会であるジム・クレイマー氏がX(旧Twitter)への投稿で、同株について楽観的な見方を示した。
Got to drill down on Nike but so far so good
— Jim Cramer (@jimcramer) March 31, 2026SNSの利用者はすぐにこの発言を逆張りの売りシグナルと受け取り、有名な「クレイマーの呪い」現象を持ち出した。
インバース・クレイマー・トラッカーETF(SJIM)は2023年に上場。クレイマー氏の公開コメントの逆を張ることでリターンを狙う発想から生まれた。
同氏のナイキ投稿には、揶揄コメント、時間外取引の急落チャート、株価が即座に下げた証拠スクリーンショットなどが相次いだ。
Barchartは後に、今回の下落が四半世紀で2番目の規模であったことを指摘した。
BREAKING 🚨: Nike$NKE obliterated for its 2nd largest loss in the last 25 years 📉📉📉 pic.twitter.com/PFPoAcIe1D
— Barchart (@Barchart) April 1, 2026実際、NKE株価は2014年10月以来の水準まで急落した。本稿執筆時点で、ナイキ株は44.62ドルで取引されていた。
好決算の裏に急落するファンダメンタルズ
ナイキは第3四半期決算で売上高112億8000万ドル、1株あたり利益0.35ドルを計上し、市場予想をやや上回った(市場予想は0.28ドル)。
しかし純利益は前年比35%減の5億2000万ドル。粗利益率は北米の関税や販促コスト増で130ベーシスポイント低下し、40.2%となった。
真の打撃となったのは今後見通しだ。CFOのマット・フレンド氏は第4四半期売上が2%~4%減少すると警告。アナリスト予想は約2%成長だった。中国売上は来四半期約20%減少と想定されている。
ナイキ・ダイレクト売上は7%減、デジタル売上は9%減。コンバースの売上は35%減少し2億6400万ドルとなり、利益から4000万ドルの営業損失に転落した。
再建計画の信頼低下
2024年末にジョン・ドナホー氏の後任として就任したエリオット・ヒルCEOは、長期的な再建を進める構えを強調している。
しかし連続した四半期の失望決算が投資家の忍耐力を試している。On Running、Hoka、アディダスの競争がナイキの市場シェア低下を招いている。
NKE株は過去最高値から約71%下落、年初来で約29%安い。
利益率回復は2027年度第2四半期まで見込まれておらず、かつて世界のスポーツウェア市場を席巻した同社の先行きは不透明なまま。
ナイキの次回決算(第4四半期)は2026年6月下旬発表予定。