イーサリアム先物やオプションでNFTをヘッジする方法

数多くのNFT（非代替性トークン）市場はイーサリアム（ETH）上に存在し、ほとんどのNFTは暗号資産(仮想通貨)イーサリアムで価格設定されているため、NFT市場のパフォーマンスはある程度でイーサリアムの価値と結びついているのです。

したがって、潜在的な市場の低迷を懸念するNFTコレクターは、イーサリアムのデリバティブを使用してコレクションの価値をヘッジすることができます。今回は、イーサリアムの先物やオプションを使用してNFTコレクションをヘッジする方法について解説していきます。

イーサリアム先物でNFTをヘッジする

NFTの宣伝が一段落し、NFTコレクションの価値が下がることを懸念している場合、イーサリアム先物を売却してポートフォリオをヘッジすることができます。

先物とは、ある資産を特定の日にあらかじめ合意した価格で交換することに二者が合意する金融派生商品契約です。先物契約の本来の考え方は、将来的に資産を売買するための価格を固定することです。そうすれば、その時の資産の市場がどこにあるかに関係なく、あなたが支払うか、または受け取ることになる金額を知ることができます。

イーサリアム先物は、数多くの大手暗号資産取引所や、規制されたデリバティブを好むならシカゴ・マーカンタイル取引所（CME）で取引することができます。

NFT市場が今後6カ月で調整されると予想されますが、NFTを一切売却したくない場合、6カ月満期のイーサリアム先物を売却し、イーサリアムベースのNFTポートフォリオをヘッジすることができます。

ポートフォリオのヘッジ比率を計算することで、どの程度ヘッジしたいかを決めることができます。そうすれば、NFTポートフォリオの一部または全体をヘッジするための先物契約数を知ることができます。

イーサリアムオプションでNFTをヘッジする

また、イーサリアムオプションを使用してNFTコレクションをヘッジすることもできます。

オプションは、将来の特定の時期にあらかじめ定義された価格で資産を購入または売却する権利を保有者に与えるが、義務はないデリバティブ契約です。これにより、ポートフォリオの価値の下落から身を守ることができますが、先物契約とは異なり、満期日にオプションの代金を支払うことだけが求められます（原資産を売買するわけではありません）。

イーサリアムプットオプション契約を購入することで、合意した期日にあらかじめ設定された価格でイーサリアムを売買することができます。イーサリアムのトークンの市場価格がオプションの行使価格を下回った場合、契約は「イン・ザ・マネー」となり、市場でより安くイーサリアムを購入し、事前に合意した高い値（行使価格）で売却できるようになります。そうすると、プットオプションのヘッジで利益が出るので、NFTコレクションの損失が相殺されます。

大切なNFTコレクションをイーサリアムデリバティブでヘッジする前に、NFT市場とイーサリアムは完全に相関しているわけではないことを念頭に置いてください。実際、Coin Metricsのレポートによると、両者はまったく相関性がありません。レポートには以下のように書かれています。

「OpenSeaの販売量とイーサリアム価格には一貫した相関がないようで、2021年8月のように高い相関があるときもあれば、2021年11月のように負の相関があるときもあります。まだ初期ではありますが、NFTは比較的独立した市場であり、ほとんどの場合、暗号資産市場の他の部分とは別に動く可能性があるようです」

つまり、NFTの価値の下落をある程度ヘッジすることはできますが、イーサリアムのデリバティブは、たとえヘッジ比率が1対1であっても、NFTポートフォリオの価値の下落を完全に相殺できない可能性があるということです。

しかし、NFTコレクションをヘッジしようとする前に、先物やオプションの仕組みを十分に理解し、不用意に損をすることがないようにしましょう。