米南部で冬季嵐による死者37人、5万世帯が1週間以上停電中
米国南部を襲った記録的な冬季嵐により、少なくとも37人が死亡し、5万世帯以上が1週間以上にわたって停電したままとなっている。テネシー州を中心に深刻な被害が出ており、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が対応に追われている。
被害の全容
2026年2月現在、冬季嵐による死者は全米で37人に達した。内訳は凍死などによるものが21人、転落事故など関連死が16人となっている。特にテネシー州ナッシュビルでは、積雪量が13cm(0.5インチ)を記録し、同州では9日間連続で停電が続く地域もある。
電力会社ナッシュビル電力公社(NES)によると、同地域では依然として約700世帯が停電しており、完全復旧にはさらに時間がかかるとみられている。全米では最大5万世帯が停電し、うち2万8000世帯がテネシー州に集中している。
過去の災害との比較
今回の事態は2021年にテキサス州を襲った冬季嵐「ウリ」を想起させる。当時は大規模停電が発生し、少なくとも246人が死亡した。電力グリッド専門家のジョージ・ルーテ氏は「今回の災害は、気候変動に伴う極端な気象現象が増える中で、インフラの脆弱性が再び露呈した事例だ」と指摘する。
ナッシュビル市長フレディ・オコネル氏は、停電地域の住民に対して避難所を提供するとともに、長期的なインフラ強化の必要性を訴えている。連邦政府も2026年度予算で電力網強化に向けた資金を計上している。
FEMAの対応と課題
FEMAは被災地に12チームを派遣し、5300万ドル以上の支援金を配布した。しかし政府監査院(GAO)の報告書によると、FEMAの予算の12%しか災害対応に充てられておらず、2026年までに改善が必要とされている。
国土安全保障省(DHS)の関係者は「19の主要災害宣言地域のうち11地域でまだ支援が完了しておらず、リソース不足が深刻だ」と匿名を条件に明かした。FEMA当局者は「全ての被災者に公平な支援を提供するよう最善を尽くしている」とコメントしている。
今後の見通し
専門家は、気候変動の影響で今後も同様の極端気象が増えると予想しており、電力インフラの根本的な見直しが必要だと指摘する。FEMAは2026年までに災害対応能力を15%向上させる計画を掲げているが、予算不足が課題となっている。
ナッシュビル電力公社は、停電が続く地域に対して移動式発電機を配備するとともに、脆弱な電力網の更新作業を急ピッチで進めている。完全復旧にはあと1週間程度かかるとみられている。