中国の「デジタル人民元」が800%急増…ドル覇権に挑戦状を突きつける「未来通貨戦争」
中国中央銀行が発行するデジタル人民元(e-CNY)の利用が急拡大しています。2026年2月現在、取引量は前年比800%増という驚異的な成長を記録。これは中国が主導するCBDC(中央銀行デジタル通貨)が国際通貨システムにおけるドルの支配的地位に本格的に挑戦を開始したことを示唆しています。本記事では、e-CNYの最新動向、国際プロジェクト「mBridge」への参加、そして米ドルを基軸とする現行システムへの影響を多角的に分析します。
デジタル人民元の爆発的成長
中国人民銀行(PBOC)の最新データによると、2025年11月時点でe-CNYの流通総額は340億元(約8,000億円)に達し、そのうち個人利用が270億元(約3,700億円)を占めています。特に注目すべきは、この1年間で取引量が800%という驚異的な伸びを示した点です。大西洋評議会(Atlantic Council)の調査では、中国国内の小売決済におけるe-CNYのシェアが着実に拡大しており、2026年1月1日現在、主要都市では公共交通機関から高級ブランド店まで、e-CNY決済が可能な店舗が急増しています。
「中国ではQRコード決済が既に普及していますが、e-CNYはそれら民間サービスとは異なり、中央銀行が直接発行するデジタル通貨という点で決定的な違いがあります」とBTCCのアナリストは指摘します。「特に政府系機関との取引や税納付などで利用が促進されており、その利便性から利用が拡大しています」
「mBridge」プロジェクトと国際展開
中国はタイ、香港、アラブ首長国連邦(UAE)などと共同で進める「mBridge」プロジェクトを通じ、国際決済システムの革新を図っています。2022年に開始されたこのプロジェクトでは、これまでに2,500件以上の取引が行われ、総額555億円に達しています。特に注目されるのは、この取引の95%がe-CNYで決済されている点です。
NYUの研究者は「mBridgeはSWIFTに代わる新たな国際決済インフラとして成長する可能性を秘めています。特に中国と貿易関係の深いアジア諸国間で、e-CNYを媒介とした取引が急増しています」とコメントしています。
安定通貨(Stablecoin)との競合
国際的なデジタル通貨競争において、e-CNYは米ドル連動型の安定通貨(StABlecoin)と激しい競争を繰り広げています。現在、国際取引で使用されるデジタル通貨の99%がドル連動型安定通貨である現状を、中国はe-CNYで打破しようとしています。
「e-CNYの最大の強みは中国政府の全面的なバックアップにある」とBTCCのアナリストは分析します。「一方で、国際的な相互運用性(Interoperability)の向上が今後の課題でしょう。各国のCBDCや安定通貨との互換性を高める必要があります」
「デジタル通貨3.0」時代の到来
金融専門家の間では、e-CNYを「デジタル通貨3.0」と位置づける声が強まっています。従来の現金(1.0)、電子マネー(2.0)に続く新たな段階として、中央銀行デジタル通貨が金融システムを根本から変革する可能性を秘めているためです。
「中国のe-CNY戦略は単なる技術革新ではなく、国際金融秩序の再編を目指す壮大な実験です」とあるウォールストリートのアナリストは匿名を条件にコメント。「2026年はデジタル通貨戦争の転換点となる可能性が高い」と予測しています。