「10万ドルのTONステーキング」でUAEゴールデンビザ取得? 当局が否定、暗号コミュニティの疑問が噴出
- TON財団の大胆な提案の中身とは?
- UAE当局が即時否定「仮想通貨投資はビザ資格に該当せず」
- 専門家が指摘する「5つの重大な疑問点」
- CZ(趙長鵬)の慎重論「信頼せず検証を」
- 現場レポート:ドバイ当局にTONビザの痕跡なし
- 歴史が教える「暗号×ビザ」の失敗事例
- 本当に知るべきUAEゴールデンビザの実際
- 投資家へのアドバイス:5つの確認事項
- Q&A:TONゴールデンビザプログラムに関する疑問
TON財団が「10万ドルのTONコインをステーキングすればUAEの10年ゴールデンビザが取得可能」と発表したことで市場が騒然。発表直後にTON価格は12%急騰したものの、すぐに当局の否定声明や暗号コミュニティからの疑問が相次ぎました。本記事では、この騒動の全容を公式情報と専門家分析を交えて徹底解説します。
TON財団の大胆な提案の中身とは?
2025年7月、The OPen Network(TON)財団は「TONゴールデンビザプログラム」と題した画期的な案を発表しました。内容はシンプルで、10万ドル相当のTONコインを3年間ステーキングし、追加手数料を支払うことで、アラブ首長国連邦(UAE)の10年有効なゴールデンビザが取得できるというもの。特に「学歴不要」「職歴不問」「現地企業の雇用オファー不要」を強調した点が話題を呼びました。
このプログラムは仮想通貨旅行スタートアップのPerevelとの共同プロジェクトとして発表され、PerevelのEhsan SattARi CEOは「従来の複雑な手続きを簡素化した画期的なソリューション」とその意義を強調しています。しかし肝心のUAE政府機関の正式な承認を示す文書は一切公開されていないのが実情です。

UAE当局が即時否定「仮想通貨投資はビザ資格に該当せず」
TONの発表からわずか数時間後、UAE政府は国営通信社「EmirateS News Agency」を通じて明確な否定声明を発表しました。声明では「仮想通貨への投資はゴールデンビザの取得資格として認められていない」と明言し、さらに「当該プログラムについて一切関知しておらず、いかなる承認も与えていない」と厳しく否定しています。
UAEのゴールデンビザ制度は本来、同国に経済的貢献が期待できる投資家や高度人材を対象としたもので、一般的には以下の厳格な条件が必要です:
- 最低50万ディルハム(約1,360万円)の不動産投資
- 革新的な事業計画の提出
- 公認インキュベーターからの支援証明
- 学術的・専門的な実績の証明
専門家が指摘する「5つの重大な疑問点」
仮想通貨業界の専門家たちは、このプログラムについて次のような根本的な疑問を提示しています:
- 法的根拠の欠如:UAEの移民法と全く整合性が取れていない
- 資金の流動性リスク:3年間のロックアップ期間中の価格変動リスク
- 実績のなさ:Perevel社の過去のビザ取得実績が不明
- 手数料の不透明性:追加で要求される手数料の内訳が不明
- 詐欺の可能性:類似事例が過去に詐欺として摘発された前例

CZ(趙長鵬)の慎重論「信頼せず検証を」
元バイナンスCEOのCZこと趙長鵬氏は自身のソーシャルメディアで「この種のプログラムには常に警戒が必要だ」と警鐘を鳴らしました。特に以下の点を問題視しています:
- 政府との正式なパートナーシップを謳いながら、それを証明する文書がない
- ウェブサイトの表現が「あたかも公式プログラムであるかのように」誤解を招きかねない
- TON財団がUAEで金融サービスライセンスを取得している証拠がない
CZは「暗号業界のイノベーションは支持するが、このケースでは極めて慎重になるべき」と述べ、ヴラジーミル・プーチン大統領の有名な言葉「信頼せよ、しかし検証せよ(Trust, but verify)」を引用して自身のスタンスを表明しました。
現場レポート:ドバイ当局にTONビザの痕跡なし
現地調査を行った暗号ジャーナリストの報告によると、UAEのいかなる政府機関(ICP、GDRFAなど)の公式システムにも「TON」に関連するビザオプションは存在せず、政府推奨の申請プラットフォーム「Dubai Now」でも同様の情報は一切確認できませんでした。
投資機関Sigil Fundのパートナー@JoeHedgedHog氏は「これは単なる第三者の法律事務所による仲介サービスに過ぎず、TONを使わずとも同じサービスが受けられる」と指摘。実際、現地の法律事務所は「仮想通貨を現金化して従来通りの投資ビザ申請を代行する」サービスを提供しているケースが多いようです。
歴史が教える「暗号×ビザ」の失敗事例
過去にも暗号プロジェクトが「投資で居住権取得」を謳った事例は複数存在しますが、そのほとんどが以下のような結果に終わっています:
| プロジェクト | 主張 | 結果 |
|---|---|---|
| パナマ・ビザプログラム(2022年) | 5万ドルの暗号投資で居住権 | 詐欺として摘発 |
| カリブ海某国の市民権プログラム(2023年) | NFT購入でパスポート取得 | 法的効力なしと判明 |
| 欧州某国の「暗号起業家ビザ」(2024年) | ICOで資金調達すればビザ発給 | 参加者の90%がビザ拒否 |
本当に知るべきUAEゴールデンビザの実際
UAEの正規のゴールデンビザ取得には、以下のような具体的な要件があります(2025年7月時点):
- 経済プロジェクトの価値証明:公認会計士による50万ディルハム以上の価値評価書
- 革新性の証明:関連当局が認める革新的要素の証明書類
- 現地受け入れ証明:認定インキュベーターからの事業実施承諾書
BTCCアナリストチームは「単なる仮想通貨のステーキングではこれらの条件を満たすのは不可能」と指摘。さらに「最近のUAEは仮想通貨規制を強化しており、逆に審査が厳しくなっている」と現地情勢を補足します。
投資家へのアドバイス:5つの確認事項
このようなプログラムに興味を持つ投資家に対して、専門家は以下の確認を強く推奨しています:
- UAE政府機関の公式ウェブサイトで情報を直接確認
- 現地の信頼できる法律事務所に相談
- プログラム運営者の金融ライセンスを確認
- 過去の実績(実際にビザを取得した人の事例)を調査
- 資金のエスクロー(第三者預託)が保証されているか確認
※本記事は投資アドバイスではありません。仮想通貨投資には高いリスクが伴います。
Q&A:TONゴールデンビザプログラムに関する疑問
TONのゴールデンビザプログラムは本物ですか?
UAE政府が正式に否定しており、現時点では政府公認のプログラムではないと見るべきです。あくまで民間企業が提供する「ビザ申請サポートサービス」の一形態と考えるのが妥当でしょう。
10万ドルをステーキングすれば本当にビザが取得できますか?
極めて疑問です。UAEの移民法上、仮想通貨のステーキング単独ではビザ取得資格を満たさないことが当局の声明で明らかになっています。従来の投資ビザと同様の審査が別途必要となる可能性が高いです。
このプログラムに参加するリスクは?
主に(1)ステーキング資金がロックされる流動性リスク、(2)TON価格の下落リスク、(3)最終的にビザが取得できない可能性、(4)詐欺被害のリスクなどが挙げられます。
CZはなぜこのプログラムを批判したのですか?
暗号業界の健全な発展を願う立場から、誤解を招く表現や法的根拠の不透明さに警鐘を鳴らしたものと解釈されます。特に新規参入者が被害にあうことを懸念した発言と思われます。
UAEで仮想通貨を使って合法的にビザを取得する方法は?
現状では、仮想通貨を一度現金化し、従来の投資ビザ要件(不動産購入や事業投資など)を満たす方法が唯一の確実なルートです。仮想通貨のままでは正式な審査対象にならないのが実情です。