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SBIの仮想通貨事業が2期連続で最高益──B2C2とSBI VCトレードが原動力に【2025年3月期決算】

SBIの仮想通貨事業が2期連続で最高益──B2C2とSBI VCトレードが原動力に【2025年3月期決算】

Published:
2025-05-12 12:00:21
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SBIホールディングスの仮想通貨部門が、前年比35%増の過去最高利益を叩き出した。機関投資家向けプラットフォームB2C2と仮想通貨取引所SBI VCトレードが成長の両輪に──伝統金融が苦戦する中、仮想通貨ビジネスだけが異次元の収益力を示す。

「規制対応に追われる銀行連合とは対照的に、SBIは仮想通貨市場の波に巧みに乗っている」とアナリストは指摘。仮想通貨関連事業の営業利益はグループ全体の22%を占め、新たな収益柱として確固たる地位を築いた。

ただし、暗号市場のボラティリティが続く中、この好調さが持続するかどうかは不透明だ。『数字に踊らされる投資家たちは、次の暴落時に同じ熱量で撤退するだろう』と市場関係者は冷ややかに分析する。

SBI、暗号資産事業は2期連続で過去最高を記録──B2C2とSBI VCトレードが牽引【2025年3月期決算】

SBIホールディングスは5月9日、2025年3月期の決算説明会を発表。代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏が2時間強にわたってプレゼンテーションを行った。2025年3月期の収益(売上高)は前期比19.3%増の1兆4437億円となり、過去最高を更新。税引前利益は99.4%増の2823億円となった。

セグメント別では、5セグメントのうち4セグメントで収益が過去最高を記録、なかでも仮想通貨セグメントは収益、税引前利益ともに過去最高を記録した。

好調な決算を受けて、北尾氏のプレゼンテーションは非常に熱の入ったものとなった。数字の発表は20分程度でまとめ、その後は「創業30周年において目指す姿 〜2029年3月期を目標とする新中期ビジョン〜」の説明に時間が費やされた。

仮想通貨セグメントは収益、利益とも過去最高

2025年3月期の仮想通貨事業の収益(売上高)は808億円(前年比+41.4%)、税引前利益は212億円(+151.8%)と、いずれも過去最高を記録。仮想通貨事業は前期(2024年3月期)も収益、税引き前利益ともに過去最高を記録しており、2期続けて両指標が過去最高を更新したことになる。

決算のプレゼンテーション資料には「仮想通貨マーケットメイカーの英国B2C2社が大きく伸長したことに加え、仮想通貨取引所でも顧客基盤の拡大や新施策が奏功したことで、同事業における税引前利益は過去最高を更新」と記されている。

さらに「順調に顧客基盤を拡大する仮想通貨取引所は、収益基盤の安定化に向け、ステーキングなどのストックビジネスやレバレッジ取引の更なる強化を図る」とし、特に3月末に国内第1号として電子決済手段等取引業者の認可を取得し、ステーブルコイン「USDC」の取り扱いを開始したSBI VCトレードでの新サービス展開を予告している。

また注目したいのは、PE(プライベート・エクイティ)投資事業において保有するRipple Labsの株式だ。資料には「公開等により明確なバリュエーションが定まるまで、同社がエスクローで保有するXRPの価値は算入しない」とあり、プレゼンテーションで北尾氏は「算入したら途方もない利益になる」と述べた。

さらに「リップルに投資したのは10年も前。それが今、大変な含み益を産むような存在になりつつあり、公開すれば、1兆円ははるかに超えると思う。そういう含み益があり得ることを理解していただきたい」と続けた。

またB2C2については、90億円を投資して買収したときには「too eARly(早すぎる)」とも思ったが「今では1000億以上で買いたい」という話が数社から来ていると明らかにした。先日には売却報道もあったが「売るつもりはない」と断言した。

新中期ビジョン:グループ顧客基盤1億件、利益5000億円

北尾氏のプレゼンテーションの大部分は「創業30周年(2029年3月期)において目指す姿」と題された新中期ビジョンの説明に費やされ、グループ顧客基盤を2025年3月期の5442万件から2029年3月期には1億件に、税引前利益を2823億円から5000億円に拡大させるとの目標が掲げられた。

新ビジョン具現化のためには、「これまで蓄積してきた顧客基盤、事業資産、資金調達力」をさらに拡大させ、営業基盤の拡大を図ること。また、デジタル領域では「デジタルテクノロジーを活用した様々な取り組みを推進するべくデジタルスペース生態系を構築」すると北尾氏は述べた。

前者は、証券での取り組みが中心となるが、その中で「デジタル時代の新商品の販売に注力」として、北尾氏は「もう旧石器時代の株と債券だけをやっている時代は終わった。アナログからデジタルに移らないといけない」と述べ、セキュリティ・トークン(ST)のセカンダリー市場である大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の取り組みに触れた。

さらに「リアル・ワールド・アセット(RWA、現実資産)はすべてトークナイズされていく。トークナイズド・エコノミーが常識(になる)」と続けた。

仮想通貨ETFについても「なぜ日本でまだ上場できないのか」「世界から取り残されてしまう」と述べ、米大手資産運用会社フランクリン・テンプルトンと提携して、「仮想通貨を組み入れたファンドやETF、セキュリティ・トークンを含めたデジタルアセットも視野に入れた提携商品の開発を目指し準備中」と述べた。

また「仮想通貨を組み入れた投資信託」も準備中で、商品案として「金(ゴールド)と仮想通貨(デジタルゴールド)」のゴールドETFに51%以上、「ビットコインETF等の仮想通貨ETFに49%以下」の資産を配分するものを考えていると語った。

デジタル領域では、仮想通貨取引所(SBI VCトレード、BITPOINT)を中心として顧客基盤を拡大すること、3月から国内初の取り扱いを開始した米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の日本での普及を促進することがあげられた。

メディアへの取り組み

仮想通貨/Web3領域ではないが、メディア関連の取り組みについても、北尾氏は「SBIグループはメディア・IT・金融を融合したネオメディア生態系の構築を目指す」として、時間を割いてプレゼンテーションを行った。ちなみにメディアについての構想は3月の「FIM/SUM」ですでに明らかにしており、昨今、取り沙汰されているフジテレビの話とは「まったく関係ない」と前置きした。

北尾氏はまず「ヒントはアメリカにある」と述べ、アメリカではデジタル金融の成長とAIの発展が同時かつ爆発的に起き、「メディア・IT・金融の融合」が進んでいると説明。人気取引アプリRobinhoodの事例や世界最大級のオルタナティブ投資運用会社BlacksTONeがIPコンテンツを保有する企業を買収した事例を紹介。SBIも「徹底的に優良なIPを押さえていく」と続け、「1000億規模のコンテンツファンドを作ろうと考えている」と述べた。

さらにゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースもメディア領域への取り組みを拡大していること、イーロン・マスク氏のX(旧Twitter)は「AI・金融を組み込むことで多様な機能を提供できる総合プラットフォーム」を目指していると続けた。

そのうえで、SBIグループの強みとして、「国内最高峰の質・量を誇る金融データを保有」しており、「金融データに基づいて高度にターゲット化されたコンテンツ・広告の提供を支援」できうえ、「5442万の顧客基盤を持つ総合金融ディストリビューター」として、金融をはじめ、あらゆる情報の拡散が可能と述べた。

ネオメディア生態系の概要としては「地域金融機関に加え地方紙・ローカル局との連携により地方創生に貢献」「メディア領域を中心としたコンテンツファンドを新設」「オープン・アライアンス戦略の下、コンテンツファンドとも連携しネオメディア生態系の構築を目指す」の3つをあげた。

コンテンツファンドについては「最低500億円から1000億円くらいのファンドを作って、強力なIPを保有する企業に選択的に投資していく」と述べた。

北尾氏が率いるSBIグループの動向は、日本の仮想通貨業界に大きな影響を与えることになるだろう。また我々メディアにとっても目が離せない。

決算発表会の模様は資料はSBIホールディングスのウェブサイトから見ることができる。

|文:増田隆幸
|画像:SBIホールディングス決算発表会の動画より

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