米CLARITY法の年内成立確率が90%に急騰―仮想通貨市場に「数兆ドル」の機関資金流入か

規制の霧が晴れる。米国議会が仮想通貨の法的枠組み「CLARITY法」を年内に成立させる確率が、市場関係者の間で90%まで急上昇した。機関投資家の巨額の資金が、ついに本格的な流入の時を待つ。
ゲートキーパーが動く
長らく「グレーゾーン」とされてきた仮想通貨市場に、明確なルールが刻まれようとしている。CLARITY法は、デジタル資産の分類から取引所の免許制度、消費者保護までを一気通貫で規定。これが成立すれば、従来、規制の不透明さを理由に傍観を続けてきた年金基金や保険会社、巨大な資産運用会社が、一斉に参入へのスイッチを入れる。
「数兆ドル」の衝撃
アナリストらは、法整備を契機とした機関資金の流入規模を「数兆ドル」と試算。これは現在の仮想通貨市場総時価総額の相当部分に匹敵する潜在力だ。流動性が劇的に増加し、市場の成熟と価格発見機能の向上が期待される一方で、伝統的な金融機関の「我々のやり方」が、この非中央集権的な生態系にどのような影響を与えるかは未知数だ。皮肉なことに、分散化を掲げたこの市場が、結局はウォール街のルールで動く日が来るかもしれない。
すべては、議会のペン先にかかっている。90%という数字は楽観的な期待に過ぎず、政治の世界では最後の1%が全てを覆す。しかし、準備を整えた巨額の資金は、すでにゲートの前で足音を立てている。
CLARITY法:成立確率が1月の40%から90%へ急騰
米国議会で審議中の仮想通貨市場構造法案、通称「CLARITY法」を巡り、市場の期待感が急速に高まっている。分散型予測市場プラットフォームPolymarketでは、同法案が2026年末までに成立する確率が今週90%に達した。今年1月初旬には40%程度まで落ち込んでいたことを考えると、わずか数週間での劇的な転換だ。
BREAKING NEWS:
POLYMARKET SIGNALS 90% ODDS FOR CLARITY ACT PASSAGE😱😱😱
Traders on Polymarket are pricing in strong confidence that the Clarity Act becomes law.
Is regulatory clarity loading? https://t.co/OJASYEJF4F Pic.twitter.com/5WmkdXIHYx
この確率急騰の背景にあるのが、ホワイトハウスが主催する仮想通貨・銀行業界との合同協議である。今週行われた3回目の会合は参加者から「建設的だった」と評価され、審議の焦点のひとつとなっていたステーブルコインへの利払い問題でも、ホワイトハウスが一定の容認姿勢を示したと報じられている。この進展が市場センチメントを大きく押し上げた。
CLARITY法は、ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨について、証券規制と商品先物規制のどちらが適用されるかを明確化し、トークン発行・取引に関する法的枠組みを整備することを主な目的としている。長年にわたり業界が求めてきた「法的確実性」を提供するものとして、市場参加者から注目を集めてきた。
業界首脳が相次ぎ支持——「4月末までの成立も視野に」
CLARITY法を支持する発言は、業界を代表する主要企業の首脳から相次いで出ている。仮想通貨特化のブロックチェーン決済企業リップルのブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者(CEO)は米メディアの取材に対し、「4月末までに成立する確率は90%だ」と述べ、ワシントンでの議論に再び勢いが戻っていることを理由に挙げた。
Ripple CEO Garlinghouse: Clarity Act 90% likely to pass by April By https://t.co/yf8In8Mi5Mhttps://t.co/t3lRn8Fes7
— Whiplash347 (@Whiplash437) February 22, 2026米大手仮想通貨取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOも、同法案について「仮想通貨業界にとっての勝利、銀行にとっての勝利、そして何より米国の消費者にとっての勝利だ」との認識を示した。
Market structure is making great progress, and I believe we're going to reach a win-win-win outcOMe.
A win for the crypto industry.
A win for the banks.
And, most importantly, a win for the American consumer. pic.twitter.com/t0WM3XUZX4
フロリダ州のリゾート施設で開催されたWorld Liberty Forumでは、アームストロングとともに登壇したゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOも、上院の仮想通貨法案に関してスコット・ベッセント財務長官と立場を同じくするとし、ルールに基づく市場制度の成文化を強く支持した。
Goldman Sachs CEO David SOLomon, speaking at the Trump-hosted World Liberty Forum, reinforced the need for clear, rule-based crypto regulation in the U.S. His comments echoed those made by Treasury Secretary Scott Bessent during testimony on Feb. 5 to the Senate Banking…
— Balance (@balance_canada) February 20, 2026「数兆ドルの資金がサイドラインで待機している。しかし、規制とコンプライアンスのインフラが整わない限り動けない」— ケビン・オレアリー(投資家)
TRILLIONS WAITING FOR Bitcoin? HERE IS WHAT KEVIN O’LEARY ACTUALLY MEANS.
Kevin O’Leary recently stated that trillions of dollars are effectively on the sidelines and could move into Bitcoin once clear US crypto legislation is passed.
His core argument is not that money… pic.twitter.com/NjFfXqyZQ5
機関投資家の立場からも、法整備の重要性を訴える声が上がっている。投資家のケビン・オレアリー氏は、適切な規制環境と制度的インフラが確立されれば、現在市場外で待機している莫大な機関資金が一気に流入し得ると強調した。
ステーブルコイン規制「Genius Act」との連動―市場の先例に学ぶ
今回のCLARITY法を巡る動向は、2025年に成立したステーブルコイン規制法「Genius Act」の事例と重ねて論じられることが多い。Genius Act成立前後には、規制環境の整備に対する期待感がビットコイン価格の押し上げ要因のひとつとなった。仮想通貨分野のベンチャーキャピタリストとして知られるミカエル・ファン・デ・ポッペ氏もこの点に着目し、「CLARITY法は市場にとって巨大な触媒になる」との見解をSNSに投稿している。
The Clarity Act would be a massive trigger for the markets.
The Genius Act has done the same –> stablecoin inflow has quickly accelerated.
The chances of this going into approval has increased to 90% in April '26.
If that happens, then it's a no-brainer for me to long $ETH. pic.twitter.com/3j9GULA7RL
ただし、アームストロングCEOの過去の動向には注意が必要だ。同氏は先月、採決直前になってコインベースとしての法案支持を突如撤回し、審議日程が延期される事態を招いた経緯がある。「悪い法案なら、法案がないほうがよい」との発言も残している。今後の審議において、同社の姿勢が再び変わる可能性は完全には否定できず、法案成立を見込む市場参加者にとって一つのリスク要因として残っている1
「期待先行の側面も」―慎重論も根強く残る
CLARITY法の成立期待が高まる一方で、それが即座にビットコイン価格の大幅上昇につながるとは限らないとの見方も存在する。フォーブス誌によれば、仮想通貨税務・ポートフォリオ管理プラットフォームを手がけるKoinlyのロビン・シンCEOは、「次の大きな材料を当てようとして水晶玉をのぞき込んでいる状況だが、それが魔法のようにビットコインを新たな史上最高値へ押し上げると期待すべきではない」と警鐘を鳴らす。シン氏は今後数カ月でビットコイン価格が7万ドル付近にとどまるか、5万ドル近辺まで下落し得るシナリオを示した
同氏はさらに、2025年10月の相場高値において、現在議論されているような強気材料の多くがすでにある程度価格に織り込まれていた可能性を指摘する。「最大級の相場上昇は、多くの人が想定するわかりやすい筋書きではなく、むしろ意外な形で起きることが多い。真の需要増こそが価格を動かす原動力であり、法整備はあくまでも土台にすぎない」と語っている。
仮想通貨市場は依然として、マクロ経済環境や地政学リスク、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策など複数の変数に左右されやすい構造を持つ。CLARITY法が仮に年内に成立したとしても、機関資金の本格流入が実現するまでには相当の時間を要するとの見方が現実的である。投資判断に際しては、期待とリスクの両面を冷静に評価する姿勢が求められる。