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トランプ氏の仮想通貨法案、議会で停滞 - 規制の空白が続くデジタル資産市場

トランプ氏の仮想通貨法案、議会で停滞 - 規制の空白が続くデジタル資産市場

Published:
2026-01-22 11:13:45

仮想通貨業界が待ち望む法的枠組みが、再び政治の迷路にはまり込んだ。トランプ氏が推進する包括的なデジタル資産法案が議会審議で足踏み状態に陥り、市場参加者の不透明感が増している。

法案の行方と市場への影響

ホワイトハウスが掲げる「米国をブロックチェーン革新の中心地に」というビジョンは、議会の複雑な委員会構造と党派的な駆け引きの中で霞みつつある。法案が提出されてから数ヶ月が経過したが、実質的な審議入りのめどさえ立っていない状況だ。金融サービス委員会では予備的な意見聴取が行われたものの、立法プロセスとしての前進は見られず、関係者の焦燥感が高まっている。

規制の空白が生む不確実性

この停滞は、仮想通貨企業にとって二重のジレンマを生んでいる。一方で明確なルールがないことがイノベーションを阻害し、他方で突然の規制強化リスクが投資判断を困難にしている。SECとCFTCの管轄権争いという従来からの問題に加え、新法案の内容を巡る業界内部の意見相違も解決の道筋を複雑化させている。

国際競争における後れ

米国が足踏みしている間にも、シンガポールやUAEなどの金融センターは積極的な規制整備を進め、仮想通貨企業の誘致に成功している。かつて「規制がイノベーションを殺す」と警告していたウォール街の重鎮たちも、今では「規制の不在が最大のリスク」と口を揃える皮肉な状況だ。

市場は待ち続けるが、忍耐にも限界がある。法案の行き詰まりは単なる政治プロセスの遅れではなく、次世代金融インフラの主導権争いにおける重要な局面を示している。伝統的な金融機関がデジタル資産参入を加速させる中、議会の議論が現実の市場動向からどんどん乖離していく光景は、まるでファイナンス版『アリス・イン・ワンダーランド』のようだ - ルールがない世界で、誰もが自分勝手にゲームを進めている。

トランプ氏「ビットコインも全部支持」

「今、議会は仮想通貨市場の構造法案に非常に熱心に取り組んでおり、私はこの法案に間もなく署名し、金融の自由に向けた新たな道を切り開きたいと考えている」とトランプ米大統領はダボスでの演説で述べた。準備された原稿を読み上げる中で、同氏は一瞬テレプロンプターから目を離し、「ビットコイン、どれもだ」と付け加えた。

この発言は、上院銀行委員会が予定していた審議を突然中止した数日後に出たもの。トランプ氏の発言は議員への直接的な政治的圧力と受け止められている。

銀行委は延期、農業委は前進

仮想通貨市場の構造法案は、2つの上院委員会で同時に審議されている。銀行委員会は証券規制を、農業委員会は商品取引規制を担当する。両方の法案が可決され統合された上で、上院本会議に送られる仕組み。

銀行委員会は先週、コインベースが支持を撤回したことを受けて法案審議を延期した。今週はトランプ氏による住宅価格是正への取り組みに議題を切り替えた。仮想通貨法案の可決は2月末から3月にずれ込む見通し。

その一方、上院農業委員会のジョン・ブーズマン委員長は水曜日、デジタル・コモディティ仲介法案の全文を公開し、1月27日の審議実施を明言した。ただし、同氏はコリー・ブッカー上院議員との超党派交渉が合意に至らなかったことも認めた。

対立の核心:ステーブルコイン利回り

コインベースが反対する理由は、ステーブルコイン利回りに関する条項に集中している。昨年、トランプ米大統領の署名で成立したGENIUS法により、ステーブルコイン保有者は実質的に利息を受け取れる形となった。この利回りが銀行の預金金利を上回る場合もあり、銀行業界のロビイストらは新法案で利回り制限を強く求めている。

コインベースのブライアン・アームストロングCEOは支持撤回の理由について「悪い法案ならないほうがいい」とコメント。同氏はダボスでのブルームバーグのインタビューでも主張を強め、「銀行のロビイストや業界団体は競合を排除しようと動いているが、私はそれを全く認めない。それはアメリカ的でない」と述べた。

米政府、コインベースに反論

ホワイトハウスはこれに厳しく反応した。トランプ米大統領のデジタル資産評議会のパトリック・ウィット事務局長は、アームストロング氏の姿勢を公然と批判した。

「『悪い法案ならないほうがいい』。こうした言葉が言えるのは、トランプ米大統領の勝利と、同氏が組織した仮想通貨推進政権のおかげということを、しっかり認識すべきだ」とウィット事務局長は語った。

同氏は、仮想通貨業界関係者が今この法案の成立を妨げれば、「絶好の好機をみすみす手放すことになる」と警告した。

議員ら「後れ」への懸念

フォックス・ビジネスのインタビューで、議員側のいらだちが高まっている様子が明らかになった。仮想通貨推進派の筆頭であるシンシア・ルミス上院議員(ワイオミング州)は来年引退予定で「トラックにひかれた『ぺったんこスタンリー』みたいな気分だ。残り11か月でこの法案をまとめたい」と述べた。

ブロックチェーン協会のピーター・スミスCEOは「もし今成立しなければ、すでに1年半かけて取り組んできたにもかかわらず、中間選挙後は大幅な遅れとなる。現実的にはさらに2年遅れることになる」と警告した。

ウィリアム・ティモンズ下院議員(サウスカロライナ州)は経済的影響を強調した。「議会が適切な枠組みをつくれば数十億ドルが米国へ戻る。逆に何もしなければ仮想通貨に関するあらゆる活動が海外流出しかねない」と語った。

議会での議論が停滞する一方、市場は着実に前進している。ニューヨーク証券取引所は、ブロックチェーンベースのトークン化証券取引プラットフォームを即時決済・24時間運営で提供する計画を発表した。

トム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州)は「米国が世界の銀行業界のゴールドスタンダードであり続けたいなら、仮想通貨も正しく扱う必要がある。これは将来の金融システムで不可欠な要素であることは間違いない」と述べた。

今後の展望

対立の構図は明確だ。トランプ政権は迅速な法案成立を求め、コインベースはステーブルコインの利回り制限を「譲れない一線」とし、銀行ロビイストらは制限の維持を要求している。

農業委員会の法案はデジタル商品スポット市場でのCFTCの管轄に焦点を当てており、ステーブルコイン利回り問題は直接扱っていない。そのため、1月27日の法案審議は予定通り進む見込み。ただし、包括的な市場構造制度には、銀行委員会の法案と統合が不可欠。

ステーブルコイン利回りを巡るコインベースと銀行ロビイストの対立解消が最大の課題。ホワイトハウスの圧力にもかかわらず、アームストロングCEOの姿勢は揺らいでいない。

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