メタプラネット、自己株式買付ゼロでも新株予約権消却完了―BTC追加購入で株価15%急騰の衝撃
自己株式買い付けはゼロだったが、新株予約権の消却を完了したメタプラネット。その直後、ビットコインの追加購入を発表すると、株価は15%急騰した。
デジタル資産戦略の明確化
同社は従来の自社株買いという伝統的手法を取らず、代わりに新株予約権を消却することで資本構成を整理。これにより、市場に対して財務の健全性と意思決定の迅速さをアピールした格好だ。そしてその直後に打ち出したのが、ビットコインの追加購入という、よりアグレッシブな資産戦略への転換であった。
市場が評価した「BTCバランスシート」効果
発表を受けた市場の反応は迅速かつポジティブだった。株価は15%という大幅な上昇を見せ、投資家が同社のデジタル資産への本格的なコミットメントを評価したことを示唆している。従来のキャッシュフローや設備投資ではなく、バランスシート上のビットコイン保有そのものが企業価値の新たな評価軸として機能し始めた瞬間と言える。
伝統的金融の常識を揺るがす一歩
メタプラネットの動きは、上場企業が自社の資金をどのように運用し、株主に価値を還元するかという根本的な問いを投げかけている。自社株買いや配当増額といった古典的な手法の代わりに、ビットコインを財務戦略の核に据える選択が、短期的な株価上昇という形で報われた事例となった。一部のアナリストが「ハイリスクな賭け」と眉をひそめる中で、市場はより先を見据えた評価を下したようだ。結局のところ、伝統的な財務指標だけでは測れない「未来への賭け」に、現代の投資家は敏感に反応する――少なくとも、四半期報告の数字に縛られた財務担当者が青ざめるような動きではあるが。
自社株買い見送りでも資本政策は進展
メタプラネットは2025年10月28日の取締役会で、発行済株式総数の13.13%に相当する1億5000万株、取得価額750億円を上限とする大規模な自己株式取得枠を決議していた。取得期間は2026年10月28日までの1年間で、東京証券取引所における取引一任契約に基づく市場買付を予定していた。
しかし、取得開始初月となった2025年12月1日から同31日までの期間において、実際の買付は行われなかった。既存の自己株式は2万6311株にとどまり、同社は慎重な姿勢を維持している。自社株買いの実施は見送られたものの、同社の資本政策は別の形で進展している。
同社は2025年6月にEVO FUNDを割当先として発行した第20回から第22回までの新株予約権について、12月末時点での未行使残高がすべてゼロになったと発表した。11月末時点では第20回が2844万株相当、第21回と第22回がそれぞれ1億8500万株相当の未行使残高があったが、11月28日以降は行使を停止し、12月8日に取得および消却の手続きを完了した。これは2025年11月20日付で開示された資金調達手段のリファイナンスに伴うもので、新たに第23回および第24回の新株予約権が発行されている。
BTC追加購入と業績修正が株価押し上げ
1月5日の取引でメタプラネット株は前日比63円高の468円(3.11ドル)で終了し、前日比+15.56%、前週比+19.16%の大幅上昇を記録した。この株価急騰の主要因は、年末に相次いで発表された好材料にあると見られている。
同社は2025年12月30日、第4四半期にビットコイン4279枚を平均購入価格1632万5148円で取得し、購入総額が698億5500万円に達したと発表した。これにより、保有ビットコイン総数は3万5102枚に達し、購入総額は5597億2600万円となった。平均購入価格は1594万5691円。
メタプラネットは、2025年12月期第4四半期を通じて4279 BTCを約698.55億円で取得(1BTCあたり約1633万円)し、2025年の年初来BTCイールド568.2%を達成しました。2025年12月30日現在、当社の保有量は35,102 BTCで、約5597.26億円(1BTCあたり約1595万円)で取得しています。 pic.twitter.cOM/R041V9UNa4
— Simon Gerovich (@gerovich) December 30, 2025同社は第4四半期中にビットコインを担保とするクレジット・ファシリティを複数締結し、総額2億8000万米ドル(約280億円)の借入を実行した。また、12月29日には第19回普通社債の残存額37億5000万円を全額償還し、同日にB種優先株式2361万株の払込完了により212億4900万円を調達した。これらの資金調達を活用し、積極的なビットコイン購入を継続している。
同社の2025年10月1日から12月30日までのBTCイールドは11.9%となり、BTCゲインは3672BTC、BTC円ゲインは505億6200万円に達した。年間を通じたBTCイールドは、第1四半期309.8%、第2四半期95.6%、第3四半期129.4%、第4四半期33.0%と推移し、積極的な買い増しを続けてきた実績がある。
ビットコイン停滞下でも独自の上昇軌道
市場の注目点は、ビットコイン価格が軟調に推移する中でメタプラネット株が独自の強さを見せていることである。2025年のビットコイン相場は年初9万3507ドルから10月に史上最高値12万6000ドルまで高騰したが、年末にかけて売り圧力が強まり、8万8000ドル台で越年した。年間を通じてマイナス成長という厳しい結果となった。
対照的にメタプラネット株は2025年1月6日時点の375円から6月に一時1,800円まで急騰しすぐに急落した。年末は最高値から約78%下落した402円で着地したものの、年初価格との比較ではプラスのリターンを確保した。2026年に入ってからは上昇基調を強め、5日には468円まで回復している。
市場関係者の間では、年間投資成績においてメタプラネットがビットコインを上回るパフォーマンスを残したことが再評価されている。同社は2027年までに21万BTCを取得する野心的な目標を掲げており、現在の保有数3万5102BTCからの大幅な積み増しを目指している。年末の大規模購入発表と業績上方修正が重なり、投資家の期待が高まったことが、年初からの株価急騰につながったとみられる。