[焦点] 米会計検査院、F-35ブロック4性能改良事業の全面的な不備を警告(2025年9月7日)
米政府監査機関(GAO)が、F-35戦闘機のブロック4性能改良事業について深刻な遅延とコスト超過を指摘する報告書を発表しました。2024年の納入予定だった238機が3年遅れの2027年までずれ込む見込みで、総費用は当初予算の165億ドルから大幅に膨らむ可能性があると警告しています。
F-35ブロック4改良計画の現状
GAOの報告書によると、F-35の最新バージョンである「ブロック4」の開発は、技術的な課題とソフトウェア統合の問題により大幅な遅延が発生しています。特に重要な「TR-3」アップグレード(技術リフレッシュ3)の遅れが全体のスケジュールに影響を与えており、このアップグレードなしではブロック4の機能が実現できない状況です。
当初2024年に完了予定だったTR-3アップグレードは、現在2027年まで延期される見込みで、これに伴いブロック4の完全実装は2033年までかかると予測されています。GAOは「この遅延により、国防総省の戦闘能力向上計画に重大な影響が出る」と指摘しています。
コスト超過とスケジュール遅延の深刻さ
プロジェクトの総費用は当初見積もりの165億ドルから少なくとも22%超過する見込みで、最終的にはさらに膨らむ可能性があります。GAOは「技術的な複雑さと統合プロセスの不備が主な原因」と分析し、国防総省とロッキード・マーチンに対し、より現実的な計画策定を求めています。
特に懸念されているのは、2025年までに106機のF-35(総額約147億ドル相当)が、不完全な状態で納入される可能性がある点です。これらの機体は後日改修が必要になるため、追加コストが発生する見込みです。
国防関係者の反応
F-35統合プログラム事務局(JPO)はGAOの報告書に対し、「技術的な課題は認識しているが、戦闘能力を損なうことなく安全なアップグレードを優先している」とコメント。一方で、一部の議会関係者からは「このレベルの遅延とコスト超過は許容できない」との批判の声が上がっています。
専門家の間では、F-35プログラムの歴史的なコスト超過問題(これまでに総額2779億ドルが投入)が再び表面化した形で、国防予算の効率性に関する議論が活発化する可能性が指摘されています。
今後の見通し
GAOは報告書で、ブロック4改良計画について「66%の性能向上が期待されているが、現状ではその約束を果たせない可能性が高い」と警告。国防総省に対し、より現実的なスケジュール設定とコスト管理、リスク評価の改善を強く求めています。
JPO側は2026年までの暫定的な導入計画を発表しており、11月には18、19機の試験運用を開始する予定ですが、GAOは「根本的な問題解決には至っていない」と指摘しています。F-35プログラムの将来性について、GAOは「持続可能性に重大な疑問が生じている」と厳しい見方を示しました。
F-35プログラムの歴史的経緯
F-35ライトニングIIは、米国と同盟国向けの第5世代戦闘機として開発が開始され、2006年に初飛行に成功しました。しかし、開発当初から技術的な課題やコスト超過が続いており、今回のブロック4改良計画の遅延は、プログラム全体の信頼性にさらなる打撃を与える可能性があります。
軍事アナリストの間では「F-35は技術的に複雑すぎる」「維持運用コストが高すぎる」といった批判も根強く、一部の国では調達計画の見直しを検討する動きも出始めています。
よくある質問
F-35ブロック4の性能改良にはどのような内容が含まれますか?
ブロック4改良には、新型レーーダー、電子戦システムのアップグレード、兵器統合能力の向上、コンコンピュータ処理能力の強化などが含まれます。これにより、F-35の戦闘能力と生存性が大幅に向上すると期待されていました。
TR-3アップグレードとは何ですか?
TR-3(Technology Refresh 3)は、F-35のコアコンコンピュータシステムとソフトウェアインインフラの大規模な更新プログラムです。ブロック4の機能をサポートするために必要な基盤技術で、処理能力とメモリ容量を大幅に増強する予定でした。
この遅延が及ぼす影響は?
遅延により、米軍と同盟国軍の戦力近代化計画に影響が出る可能性があります。特に、老朽化した現行機の代替時期がずれ込むことで、一時的な戦力ギャップが生じる懸念があります。