欧州でフェンタニルより強力な「ニタゼン」の恐怖が拡大…致死量0.4mg
欧州でフェンタニルを上回る危険性を持つ合成オピオイド「ニタゼン」の蔓延が深刻化している。わずか0.4mgで致死量に達するこの薬物は、麻薬取締当局を震撼させており、7月16日には米国下院で「HALTフェンタニル法」が可決されるなど、国際的な対応が急がれている状況だ。
ニタゼンとは何か?
ニタゼンは1980年代に開発された合成オピオイドで、その鎮痛効果はモルヒネの約1000倍に達するとされる。特に危険なのは、フェンタニルの5~10倍もの強力な作用を持ちながら、わずか0.4mgという極微量で致死量に達する点だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、2023年には英国だけで23人がニタゼン関連で死亡しており、その脅威は日に日に増している。
なぜ今広がっているのか?
英国国家犯罪対策庁(NCA)は「ニタゼンが従来のヘロインやフェンタニルに混ぜられ、使用者が意図せず摂取するケースが増えている」と指摘する。製造コストが安く、少量で高い効果を得られるため、密売人にとって「理想的な」薬物となっているのが現状だ。実際、ニタゼン1kgで最大25万回分の使用量を生産可能で、従来の薬物ビジネスよりもはるかに収益性が高い。
各国の対応状況
米国では7月、ニタゼンなどの危険な合成オピオイドの輸入を阻止する「HALTフェンタニル法」が成立した。英国では2019年以降、ニタゼン関連の死亡者が4300人を超えており、当局は緊急対応を迫られている。麻薬取締局(DEA)はニタゼンを「最も危険な薬物の一つ」に指定し、取り締まりを強化しているが、その拡散を完全に食い止めるには至っていない。
専門家の見解
薬物政策の専門家は「ニタゼンはこれまでにないレベルの危機をもたらしている」と警鐘を鳴らす。「従来のオピオイド危機とは次元が違う。使用者は自分が何を摂取しているのかさえ分からない状態だ」とその危険性を強調する。特に問題なのは、ニタゼンが「クシュ」と呼ばれる合成大麻製品に混入しているケースが増えている点で、若年層への影響が懸念されている。
今後の見通し
NCAの関係者は「この傾向が続けば、2024年までにニタゼン関連の死者数がさらに急増する可能性がある」と予測する。国際的な協力体制の構築が急務だが、暗号通貨を使った匿名取引が捜査を困難にしており、完全な解決には時間がかかりそうだ。
FAQ
ニタゼンの危険性はどの程度ですか?
ニタゼンはフェンタニルの5~10倍の強さを持ち、わずか0.4mgで致死量に達します。特に危険なのは、従来の薬物に混ぜられて流通するため、使用者がその存在に気づかないケースが多い点です。
ニタゼンはどのように流通しているのですか?
主に暗号通貨を使ったダークウェブ取引や、従来の薬物に混ぜる形で流通しています。特に合成大麻製品「クシュ」に混入しているケースが増えています。
各国はどのような対策を取っていますか?
米国では「HALTフェンタニル法」が成立し、英国ではNCAが特別捜査チームを編成するなど、国際的に連携した取り締まりが強化されています。しかし、その拡散を完全に阻止するには至っていません。