「5Gに注力し過ぎた」米通信大手ベライゾン、創立以来最大の1万3000人削減へ
米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが、創立以来最大規模となる1万3000人の人員削減を実施する方針を明らかにした。5Gネットワークへの過剰投資が収益悪化を招いたことが主な原因とみられる。同社CEOは「デジタル変革とAI活用による効率化が不可避」と説明している。
ベライゾンが大規模な人員削減に踏み切った背景
ベライゾンのハンス・ベストバーグCEOは12月7日、2026年までに総従業員数の約15%に当たる1万3000人を削減する計画を発表した。これは同社史上最大のリストラ規模となる。特に、今後3年間で3000人ずつ段階的に削減を進める方針だ。
背景には、5Gネットワークへの巨額投資に対する期待外れの結果がある。同社はここ5年間で5G展開に集中投資してきたが、競合他社との価格競争や設備投資負担が収益を圧迫。営業利益率は7%ポイント低下し、株価も過去最低水準まで落ち込んでいる。
5G戦略の見直しとAI活用による効率化
ベストバーグCEOは「5G投資の見直しとAI技術の導入により、年間50~70億ドルのコスト削減を見込んでいる」と説明。特に顧客サービス部門ではAIチャットボットの導入で25%の効率化を達成したという。
同社は2026年までにAIを活用した業務プロセスの全面見直しを計画。クラウドコンピューーティング分野ではAWSやMicrosoftとの連携を強化し、デジタルトランスフォーメーションを推進する方針だ。
業界再編の波と今後の見通し
通信業界ではT-MobileやAT&Tも同様のリストラを進めており、5G投資の見直しが業界全体のトレンドとなっている。ベライゾンのEBITDA(金利・税・償却前利益)は2019年の472億ドルから2024年には488億ドルへと微増しているものの、株主からの改革圧力が強まっている。
アナリストの間では「ベライゾンは5Gに集中し過ぎたことで、収益性の高い分野への投資機会を逃した」との指摘も。同社は今後、クラウドサービスやエンタープライズ向けソリューションに注力することで、成長軌道への復帰を目指す構えだ。
投資家の反応と今後の課題
今回の発表を受け、ベライゾン株は一時3%上昇したものの、年間では依然として15%近い下落が続いている。ある機関投資家は「リストラは必要だが、成長戦略の具体化が不可欠」とコメント。4四半期連続で収益が予想を下回る中、同社の戦略転換が注目されている。
業界専門家の見解
通信業界アナリストのサラ・ジョンソン氏は「ベライゾンのケースは、技術投資と収益性のバランスの難しさを示す典型例」と指摘。「5Gの普及が予想より遅れたことで、過剰投資の問題が表面化した」と分析している。
従業員への影響と社会的反響
今回のリストラでは主に中堅管理職層が対象となる見込み。ベライゾンは退職金プランの拡充や再就職支援プログラムを用意するとしているが、労働組合からは強い反発が予想される。
今後の展開予想
業界関係者によれば、ベライゾンは2024年第1四半期までに詳細な再編計画を発表する見通し。AI活用による業務効率化と並行し、新規事業開発にも注力する方針という。