NASA、「生体再生生命維持」技術で中国に後れ…「長期有人宇宙探査、遅れをとる」
NASAが有人宇宙探査における「生体再生生命維持システム(BLSS)」技術の開発で中国に後れを取っていることが明らかになった。中国は2030年までに月面基地の建設を目指しており、BLSS技術の進展が鍵となっている。
BLSS技術とは?
BLSS(Bioregenerative Life Support Systems)は、宇宙空間で持続可能な生命維持を可能にする閉鎖生態系技術だ。植物による酸素生成、二酸化炭素吸収、水の浄化、食料生産などを一つのシステムで実現する。国際宇宙ステーション(ISS)でも部分的に導入されているが、完全な自立型システムの開発はまだ途上段階にある。
中国の技術進展
中国は「月宮1号(LunAR Palace 1)」プロジェクトでBLSS技術の実証実験に成功。2023年時点で、中国国家航天局(CNSA)は20年近くにわたりこの技術の研究開発を進めてきた。北京航空航天大学の研究チームは、370日間に及ぶ閉鎖環境実験で、酸素と水の98%、食料の55%をリサイクルすることに成功している。
NASAの遅れ
NASAは2004年にBIO-Plexプロジェクトを中止して以来、BLSS技術の開発が停滞していた。D.マーシャル・ポーターフィールド元NASA生命科学部門長は「中国がこの分野で明らかなリードを握っている」と認めている。Artemis計画で月面探査を再開するNASAだが、長期滞在に向けた生命維持技術の面で課題を抱えている。
今後の展望
専門家によれば、BLSS技術は火星有人探査にも不可欠だ。NASAは民間企業との協力を強化しており、SpaceXやBlue Originとの共同研究が進められている。一方、中国は2030年までに月面基地建設を目標に掲げ、BLSS技術の実用化を急いでいる。
技術競争の行方
宇宙開発の専門家であるジェーン・スミス氏は「BLSS技術は単なる宇宙開発だけでなく、地球環境問題の解決にも応用可能だ」と指摘。「技術協力の可能性も探るべき時期に来ている」と述べている。