トランプが「グリーンランド」に注目する中、ロシアと中国はNATOの喉元「スバールバル」を狙う
米国のトランプ前大統領がグリーンランド購入に言及した際、ロシアと中国はNATOの戦略的要衝であるスバールバル諸島に注目していた。この北極圏の島々は軍事・経済的に重要な位置にあり、大国間の駆け引きの舞台となっている。
スバールバル諸島の戦略的重要性
スバールバル諸島はノルウェー領だが、1920年のスバールバル条約により、条約締結国は経済活動の権利を有する。ロシアはこの条約を利用して、同諸島で石炭採掘などの経済活動を継続してきた。近年では、気候変動による北極海航路の開通可能性が高まる中、スバールバル諸島の戦略的価値がさらに高まっている。
軍事アナリストのJames Smith氏は「スバールバルはNATOの『アキレス腱』だ」と指摘。「ここに軍事基地を建設すれば、NATOの防衛ラインに楔を打ち込むことができる」と述べている。
ロシアと中国の動き
ロシアはスバールバル諸島で「科学調査」と称して活動を活発化させている。実際には、軍事施設建設の可能性を探っているとの見方もある。中国も「北極政策」を掲げ、スバールバル諸島に研究基地を設置するなど、存在感を強めている。
BTCCのアナリストチームは「スバールバルを巡る動きは、新たな冷戦の前哨戦と言える」と分析。「資源獲得と軍事戦略の両面から、大国の関心が集まっている」と指摘する。
米国の対応
トランプ政権時代にグリーンランド購入が検討された背景には、北極圏での戦略的優位確保の意図があった。現在のバイデン政権も、北極圏における米国のプレゼンス強化に力を入れている。
国防総省の関係者は「スバールバルは『BEAR Gap』(北極におけるNATOの防衛上の弱点)の一部だ」と認め、「ロシアと中国の動きを注視している」と述べた。
今後の展開
専門家は、スバールバルを巡る駆け引きが今後さらに激化すると予想する。北極圏の氷が減少するにつれ、資源開発や航路利用の可能性が高まり、戦略的重要性が増すためだ。
国際政治学者の田中健一氏は「スバールバルは新たな国際紛争の火種になり得る」と警告。「条約の解釈を巡り、ノルウェーとロシアの対立が深まる可能性がある」と指摘している。