欧州ガス危機深刻化…貯蔵量26%に急落、LNG輸入は史上最大
欧州のガス危機が深刻化している。ロシアからの供給減少により、欧州連合(EU)のガス貯蔵量は過去最低水準の26%まで急落した。一方で、液化天然ガス(LNG)の輸入量は史上最高を記録している。エネルギー安全保障を確保するため、EU各国は緊急対策を講じているが、冬を前にした供給不安は解消されていない。
欧州ガス貯蔵量が危険水準に
欧州ガスインフラ協会(GIE)の最新データによると、10月時点でのEUのガス貯蔵量は35%から26%に急落した。これは過去5年間の平均を大きく下回る水準だ。特に、ドイツやイタリアなどの主要消費国では、貯蔵量が20%を切る状況となっている。
専門家は「通常ならこの時期の貯蔵量は80~90%が望ましい」と指摘。11月までに貯蔵量を増やす必要があるが、ロシアからのパイプライン供給が減少しているため、達成は困難とみられている。
LNG輸入が過去最高に
エネルギー調査会社LSEGの分析では、EUのLNG輸入量は前年比24%増加。特にアメリカ産LNGの輸入が17%増加している。2020年比では約3倍の水準だ。
「ロシア産パイプラインガスに代わり、LNGが欧州のエネルギー供給を支えている」とBTCCアナリストは解説する。ただし、LNG価格の高騰が家計や企業に重くのしかかっており、経済への影響が懸念されている。
2024年の供給見通し
国際エネルギー機関(IEA)は、2024年のLNG供給が30%増加すると予測。特にアメリカのLNG輸出能力拡大が寄与するとみられている。
一方で、環境団体フェルンは「LNG依存は気候変動対策と矛盾する」と批判。再生可能エネルギーへの移行を加速すべきだと主張している。
業界関係者によれば、「2026年までにLNG供給過剰が発生する可能性がある」との見方も示されている。短期的な供給不足と中長期的な供給過剰という複雑な状況が続きそうだ。
エネルギー安全保障の行方
EUはロシア依存脱却を進める一方、再生可能エネルギーへの投資を拡大。風力や太陽光の発電容量を2030年までに2倍にする目標を掲げている。
BTCCリサーチ部門は「エネルギー転換期の混乱は避けられない」と分析。「短期的にはLNG、中長期的には再生可能エネルギーが解決策となる」と指摘している。