「ジャンク債市場でリスク選好が急拡大、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏警告も無視」
- なぜCCC格債券がジャンク債市場をリードしているのか?
- 専門家たちが警告する「不自然な信用スプレッド」の実態
- BB格債券が直面する「堕落天使」リスクとは?
- グローバル市場で進行する信用戦略の多様化
- M&A破談と破産が示す市場の緊張感
- 市場参加者が知っておくべき3つのポイント
- FAQ
【要約】CCC格付けのジャンク債が7月に入り0.75%のリターンを記録し、投資適格債を含む全債券クラスを上回る驚異的なパフォーマンスを示している。一方でBB格債券(ジャンク債の最上位層)は最下位に沈み、市場のリスク選好傾向が鮮明に。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOが「信用スプレッドは不自然に低い」と警告するも、投資家たちは高利回りを求めてCCC債券に殺到。BBB格債券との利回り差が75bpまで縮小する中、市場の熱狂的な動きに専門家から懸念の声が相次いでいる。
なぜCCC格債券がジャンク債市場をリードしているのか?
ブルームバーグデータによると、7月現在CCC格債券のリターンは0.75%に達し、BB格債券のパフォーマンスを大きく上回っている。これは今年初めの状況と完全に逆転した現象だ。当時はトランプ元大統領の貿易政策懸念からBB格債券が「安全資産」として買われていたが、現在では「リスクオン」ムードが支配的。PGIMフィックスドインカムのロバート・ティップCIOは「投資家の安心感が高まるにつれ、より高いリスクを取るようになっている」と指摘する。
専門家たちが警告する「不自然な信用スプレッド」の実態
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは今週「信用スプレッドが不自然に低い」と異例の警告を発した。同氏は1ヶ月前にも「もしファンドを運用していたら、信用商品には一切手を出さない」と発言。ダブルライン・キャピタルのジェフ・ガンドラックCEOも「ハイイールド債へのエクスポージャーを史上最低水準まで削減した」と明かしており、専門家の間で警戒感が広がっている。
BB格債券が直面する「堕落天使」リスクとは?
バンク・オブ・アメリカのデータによると、BB格とBBB格債券の利回り差は75bpまで縮小(10年平均は120bp)。この状況下で投資家はBB格債券をスキップし、直接BBB格債券を購入する傾向が強まっている。さらに「堕落天使(元投資適格企業がジャンク債に転落する現象)」の技術的リスクも顕在化。ワーナー・ブラザース・ディスカバリー社の格下げ事例のように、大規模な債務が市場に流入することで価格変動リスクが高まっている。
グローバル市場で進行する信用戦略の多様化
米銀業界では、モルガン・スタンンレーが国内投資適格債市場に直接参入する一方、ウェルズ・ファーゴやシティグループは欧州投資家を優先する戦略を選択。中国では万科集団が国内銀行融資の期限を最大10年に延長しようとする動きを見せている。また、チャック・E・チーズの親会社CECエンターーテインインメントは6億ドルの資金調達を模索するなど、グローバルに信用環境の変化が広がっている。
M&A破談と破産が示す市場の緊張感
カナダのクーシュ・タール社がセブン&アイ・ホールディングスへの4.58兆円買収提案を撤回した事例や、ライフスキャン・グローバル社の破産保護申請など、企業活動の行き詰まりが表面化。光ファイバー企業のザヨ・グループは数十億ドル債務の期限延長を協議中だが、信用収縮環境下での難航が予想される。
市場参加者が知っておくべき3つのポイント
1) CCC格債券の人気は短期的なリスク選好の表れであり持続性に疑問
2) 専門家の警告通り信用スプレッドが歴史的に低水準にある点に注意
3) 「堕落天使」リスクがBB格債券市場に及ぼす影響を過小評価すべきでない
FAQ
現在のジャンク債市場で最もパフォーマンスが良いのはどの格付け層ですか?
7月時点ではCCC格債券が0.75%のリターンでトップパフォーマンスを示しており、BB格債券を大きく上回っています。
ジェイミー・ダイモン氏が警告する「不自然な信用スプレッド」とはどういう意味ですか?
現在の信用スプレッド(リスクプレミアム)が歴史的な平均値と比べて不自然に低く、実際のリスクを適切に反映していないという警告です。
「堕落天使」リスクとは具体的にどのようなものですか?
元々投資適格だった企業が業績悪化でジャンク債に格下げされる現象で、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー社の事例のように市場に大量の債券が流入することで価格が乱高下するリスクを指します。