「価格上げない」と言いながら…アマゾン、生活必需品数百品目の価格をこっそり値上げ
世界最大の電子商取引企業アマゾンが、トランプ米大統領の関税脅威を受けて、消費者への低価格維持を公約しながらも、数百の生活必需品の価格を密かに引き上げていたことが明らかになった。特に値上げ幅が大きい商品では価格が2倍以上になったケースもあり、消費者からの反発が予想される。
アマゾンの「こっそり値上げ」戦略の実態
電子商取引データ分析会社トラジェクトデータの分析によると、アマゾンは今年1月以降、低価格帯の生活用品1200品目以上で平均5.2%の値上げを実施していた。同じ期間、ウォルマートは同様の商品で平均2%の値下げを行い、ターゲットはほとんど価格変更がなかったという。
代表的な値上げ事例
キャンベル社の「ニューイングランドクラムチャウダー」スープは、1月20日時点で1.98ドル(約2760円)だったが、7月1日には2.58ドル(約3590円)へと約30%値上がりした。一方、同じ商品がウォルマートでは逆に価格が下がっているケースが多かった。
特に顕著な例として、オハイオ州のデイグロー社が中国などから輸入する金属製収納バスケットは、アマゾンで1月に9.31ドル(約1300円)で販売されていたものが、4月末には19.99ドル(約2790円)と114%も値上がりした。対照的に、ウォルマートでは同じ商品が17.90ドル(約2万4920円)から6.77ドル(約9410円)へと62%下落していた。
メーカー側の困惑
アマゾンは「報道で追跡された商品は全体の価格動向を代表するものではない」とし、「我々は値上げ率よりも絶対的な価格の安さを重視している」とコメントしている。しかし、製造メーカー側は製品の供給価格を上げた事実はないと主張している。
キャンベルを含む複数の企業は「米国内で生産された製品でさえアマゾンで価格が上がっていることに驚いている」と述べた。デイグローのニック・モリスロCEOは「先月鉄鋼に課された関税のため、コンテナ1つあたりのコストが1日で跳ね上がった」としながらも、「それでもアマゾンへの供給価格は上げていない」と語った。
関税負担の現実
トランプ大統領は5月に「企業が関税を負担すべきだ」と公言し、企業の価格転嫁を批判していたが、アマゾンの今回の事例はそれとは異なる現実を示している。特に値上げされた商品の多くは、アマゾンの米国内売上高の3分の1を占める「日常必需品」で、消臭剤・洗剤・ペットフードなどが含まれている。
アマゾンは高価格帯商品の価格を引き下げながら、低価格帯商品の価格を上げる「二重戦略」を採用していると分析されている。ハーバード大学のアルベルト・カバジョ教授は「関税の不確実性のため、小売業者が価格を徐々に慎重に調整している」と指摘し、「明確なメッセージを避ける戦略も政治的論争を懸念してのこと」と述べた。
消費者への影響
専門家によると、値上げ幅が小さくても頻繁に購入する低価格商品に適用されると、消費者の実感する負担は大きくなる可能性があるという。特に生活必需品の値上げは家計に直接響くため、今後の消費者動向が注目される。