[深層分析] 中国が希土類90%を独占、アメリカが30年間育てた...GM売却・鉱山閉鎖の代償
中国が世界の希土類供給の90%を支配している背景には、アメリカの過去30年間の政策判断が大きく関わっている。金融タイムズ(FT)の分析によれば、これは1990年代のGM売却や国内鉱山閉鎖など、一連の決定が招いた結果だ。現在、アメリカはこの戦略的ミスを修正するため、3〜5年かけて自給体制を整える計画を進めている。
中国の希土類支配、その起源は1990年代のアメリカの判断に
1990年代、アメリカは自国の希土類産業を衰退させる一連の決定を下した。1995年には最後の主要鉱山を閉鎖し、2002年には希土類精製企業のMolycorpが破産。この間、中国は国家戦略として希土類産業に集中的に投資し、世界市場を席巻していった。
特に象徴的なのは、1990年にアメリカ政府がGMの希土類部門を中国企業に売却した決定だ。当時、外国投資委員会(CfiuS)はこの取引を承認したが、結果的に中国に技術と市場シェアを供与する形となった。
現在の市場シェアとアメリカの依存度
2023年現在、中国は以下の分野で圧倒的優位にある:
- 希土類精製:世界の90%
- 磁石生産:85-90%
- 採掘量:60-70%
アメリカ国防総省の報告書によれば、F-35戦闘機1機に約400kgの希土類が使用されており、そのほとんどが中国産だ。電気自動車(EV)用モーターの主要材料であるネオジム磁石も、中国が世界供給の92%を占めている。
アメリカの巻き返し戦略と課題
バイデン政権は2021年、重要鉱物サプライチェーンの強化を宣言。カリフォルニア州のマウンテンパス鉱山再開や、テキサス州での精製施設建設を支援している。しかし専門家は「完全な自給までに3-5年かかる」と指摘する。
BTCCアナリストのJames Park氏は「中国の優位は単にコスト競争力だけでなく、30年かけて築いたサプライチェーン全体の強さにある」と分析。「アメリカは技術力はあるが、量産体制とコスト面で依然として遅れを取っている」と述べた。
今後の見通しと市場への影響
FTの予測では、アメリカの希土類自給率は2025年までに55%に達する見込み。一部の専門家は「中国が価格戦争を仕掛けてくる可能性があり、市場はさらに混乱する」と警告する。
投資家にとって重要なのは、次の3点だ:
- アメリカの政策支援が続く限り、関連株は上昇余地がある
- 中国の輸出規制動向に注意
- リサイクル技術の進展がゲームチェンジャーになり得る
よくある質問
なぜアメリカは自国の希土類産業を衰退させたのか?
1990年代、環境規制の強化と中国産の低価格品に押され、採算が取れなくなったためです。当時は「グローバリゼーションの勝利」と考えられていました。
希土類不足はEV産業にどのような影響を与えますか?
テスラはすでにネオジム不使用モーターの開発を発表していますが、性能面で課題が残ります。短期的にはコスト上昇が避けられないでしょう。
個人投資家が注目すべき銘柄は?
MP Materials(MP)やLynas RARe Earths(LYC)などが代表的です。ただしボラティリティが大きいため、分散投資が重要です。