2月の87億2000万ドルオプション満期、市場は恐怖を織り込むも逆張り警戒
8.72ビリオンドル規模のオプションが満期を迎える。市場はすでに恐怖を織り込み済みか?
巨大な満期が市場を揺さぶる
今月末、デリバティブ市場に注目が集まる。約87億ドル相当のオプション契約が一斉に満期を迎えるのだ。この規模は、過去数カ月で最大級。通常、これだけの大量ポジションが清算されれば、ボラティリティの急上昇は避けられない。しかし、今回は様子が違う。市場はすでに下落を織り込み、逆張りを警戒する空気が漂っている。まるで、誰かが仕掛けた罠のようだ。
「恐怖」は先取り済み?
オプション市場のデータを覗くと、興味深い傾向が見える。プット(売り権)の建玉が、ここ数週間で急増。投資家たちがヘッジを強化している証拠だ。つまり、市場はすでに悪材料を織り込み済みかもしれない。これが「セル・ザ・ニュース」現象だ。悪いニュースが実際に起きても、相場が反発する逆説的な動き。金融市場でよくある、投資家を惑わせる古典的な罠と言える。
逆張りの危うい誘惑
「みんなが悲観的なら、買い時」という格言は魅力的だ。しかし、オプション満期という制度的な圧力は無視できない。マーケットメイカーはデルタ・ヘッジの調整で大量の現物売買を迫られる。これは単なるセンチメント以上の、機械的な売り圧力になる可能性がある。逆張りを試みるトレーダーは、この制度的な潮流に逆らう覚悟が必要だ。金融の世界では、センチメントよりもフローが物を言うことが多い。
結局のところ、オプション満期は単なるカレンダー上のイベントに過ぎない。本当の価値は、その後の資金の流れで決まる。満期後のポジション再構築が、次のトレンドを暗示する。市場が恐怖を織り込み済みなら、それはむしろ好材料かもしれない。あるいは、単なる楽観論に過ぎないのか。金融市場の皮肉なところは、答えが分かるのはいつも後になってからだという点である。
2月の87億ドル満期が分岐点 ビットコインとイーサリアムに逆風か
ビットコインが大部分を占める。11万4705件の契約で、名目総額は77億4000万ドルに達し、決済へ向かっている。
イーサリアムは47万8992件の契約で、およそ9億7500万ドル相当。両者の満期は、全オープンインタレストの約20%に相当し、市場への影響も大きい可能性。
現行価格では、両資産ともに「マックスペイン」水準、すなわち最も多くのオプションが無価値となる権利行使価格を大きく下回る。
ビットコインは6万8052ドルで取引されており、マックスペインは7万5000ドル。イーサリアムは2,035ドル付近で推移し、マックスペインの2,200ドルを下回っている。
コール建玉(OI)が両資産とも優勢。ビットコインはコールが6万6300件、プットが4万8405件で、プット・コール比率は0.73。イーサリアムはコールが26万8642件、プットが21万350件で、比率は0.78となる。
Deribitのアナリストによれば、両主要資産ともコール建玉が優勢だが、ビットコインの方が決済時の名目額が圧倒的に大きい。この要因により、ヘッジ取引が活発化すればスポット価格の感度が高まる可能性。
ボラティリティの乖離が不安感を示唆
一方、ボラティリティ指標には複雑な動きが見られる。Deribitによると、ビットコインのDVOL(ボラティリティ指数)は53、インプライドボラティリティ(IV)のパーセンタイルは87.7と、過去レンジと比べても高水準。
イーサリアムのDVOLは絶対値で70と高いが、IVパーセンタイルは55.7にとどまり、過去の水準と比べれば極端ではない。
A DEEPer look at tomorrow's February-end expiry.
BTC DVOL is currently sitting at 53 with an IV percentile of 87.7 – elevated relative to historical data.
ETH DVOL is at 70 but IV percentile of just 55.7 – high in absolute terms but unremarkable historically.
Vol is being… pic.twitter.com/8zS4LWHLV2
とはいえ、イーサリアムのボラティリティはビットコインに比べて15~20ポイント高い状態を維持。トレーダーはETHの将来満期により大きな不確実性を織り込んでいる状況が示唆される。
満期前プレミアムが前面に集中し、両資産ともタームストラクチャー(期間構造)はコンタンゴ。
恐怖後退も確信は広がらず
今月初旬、ビットコインとイーサリアムの25デルタ・スキューは-30付近まで急低下。価格下落によるダウンサイドリスク回避需要が高まった形。
その後、スキューは-8から-9付近まで回復し、パニック的なヘッジの勢いは収束。一方で依然としてマイナス水準が続くため、市場は防御姿勢を完全には解消できていない。Greeks.liveのアナリストも、市場全体を「鈍い」と評している。
February 27 Options ExPiration Data
116,000 BTC options expired, with a Put-Call Ratio of 0.76, maximum pain point at $75,000, and notional value of $7.9 billion.
206,000 ETH options expired, with a Put-Call Ratio of 0.77, maximum pain point at $2,200, and notional value of $980… pic.twitter.com/2Zpe9DIx76
2月初頭、ビットコインは一時6万ドル台の心理的節目を試す場面があり、その後も上値の重い展開が続いている。
直近の2日間反発でIVが上昇(BTC主力満期で47%、ETHは65%)したが、市場の信認は依然として薄い。
「下落トレンドはいったん和らいだが、市場の自信は依然として不十分。特に中期・長期満期のラージブロックコールオプションが取引を主導している」とGreeks.liveは指摘。
スキュー指標の回復は「押し目買い」の兆しだが、Greeks.liveは依然として市場全体がベアトレンドの圏内にあると警告する。
重要なのは、仮想通貨市場には新規資金流入や明確な材料が乏しい点。SNS上でも悲観的なストーリーが主流だ。極端な恐怖がやや後退している兆しはあるが、反発を牽引する確固たる信念はいまだ見受けられない。
ビットコインとイーサリアムの両方が最大ペイン水準を大きく下回って推移しているため、本日のオプション満期に向けて現物価格が上昇に向かう可能性がある。この展開により、「ペイントレード」が強まる可能性もある。
ただし、需要の低迷が続けば、満期後にボラティリティが縮小する可能性がある。デリバティブ市場はパニックがやや和らぐ価格形成となっているが、依然として市場の信頼回復とは言えない状況。