「科学難民」化する米国の頭脳たち…欧州が破格の支援策で「ラブコール」
トランプ政権の研究費削減や政治的圧力により「学問の自由」が危機に瀕する中、EUやフランスなどが1兆ウォン規模の基金を組成し、ビザ簡素化で「科学の避難所」をアピール。米国を離れる研究者たちを積極的に誘致する動きが加速している。
欧州が科学者誘致に本腰を入れる背景
トランプ政権の復帰後、米国学術界は急激な変化に見舞われた。連邦政府が多様性プログラムや反ユダヤ主義調査を名目に大学研究助成金を数十億ドル削減・凍結する動きを見せているためだ。特に多様性・包摂性、気候変動、社会科学などの特定分野の研究が標的となり、支援が打ち切られるケースが増加。これにより学問の自由への懸念が高まっている。
科学誌『ネイチャー』の3月調査では、回答した科学者1600人のうち4分の3が米国離れを検討しており、欧州を最優先の移住先として挙げた。フランスのエクス=マルセイユ大学が提供する「Safe Place for Science」プログラムには、ハーバードやイェール、NASA所属の研究者ら約300名が3週間で応募するなど、関心の高さが伺える。
各国が競う破格の支援策
欧州各国は研究者獲得競争で独自の戦略を展開している。マクロン仏大統領は1億ユーロ(約1599億ウォン)の追加予算を約束し「自由を愛するならフランスへ来い」と訴えた。EU執行委員会は2025年から3年間で5億ユーロ(約7995億ウォン)規模の「Choose EurOPe for Science」プログラムを開始。英国も5000万ポンド(約935億ウォン)規模のグローバル研究者誘致プログラムで研究費とビザ費用全額を支援する。
| 国/地域 | 支援内容 | 規模 |
|---|---|---|
| フランス | 「Safe Place for Science」プログラム | 1億1500万ドル |
| EU | 「Choose Europe for Science」 | 5億ユーロ(3年間) |
| 英国 | グローバル研究者誘致プログラム | 5000万ポンド |
現場から見た学問の自由の危機
南カリフォルニア大学の歴史学者ネイサン・パール=ローゼンタール教授は、米国人文科学基金(NEH)の支援金が突然キャンセルされた後、マクロン大統領と面会。「大衆政治の台頭について研究していると伝えると、彼はウィンクしてくれた」と語り、学問の自由を守る姿勢に感銘を受けたという。
コーネル大学の政治学者レイチェル・ビーティ・リドル氏も「世界的な民主主義の後退」研究のため、フランスのシアンスポに1年職を受け入れ今秋移住予定。「トランプ再選後、研究実施がより複雑になった」と現状を嘆く。
欧州移住の現実的課題
欧州の年俸は米国より低いが、生活費や医療・教育費負担が軽い。研究者専用ビザ(フランスの「パスポール・タラン」、ドイツの「ブルーカード」等)による移住手続き簡素化や、EURAXESSなどのプラットフォームを通じた求職・定住情報提供が明確な利点だ。
一方で、欧州の研究開発投資規模が米国に及ばず、短期的な誘致プログラムが学術地図を根本的に変えられるかは不透明との指摘もある。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのジェームズ・ウィルスドン教授は「科学が求めるのは安定性、予測可能性、そして長期的計画」と強調する。
Q&A:科学者移住をめぐる主要疑問
なぜ米国研究者は欧州に注目しているのか?
トランプ政権による研究費削減や特定分野への政治的干渉が強まり、学問の自由が脅かされているため。特に気候変動や社会科学分野の研究者の不安感が強い。
欧州のどの国が最も積極的か?
フランスが1億1500万ドル規模の基金で先頭を切り、EU全体でも5億ユーロプログラムを準備。英国も独自の誘致策を展開している。
欧州移住の主なメリットは?
学問的自由の保障に加え、医療・教育費負担軽減、研究者向け特別ビザ制度、EU域内の移動の自由などが挙げられる。