三崎優太氏率いる三崎未来HD、エス・サイエンスと提携で新領域へ―蓄電池と仮想通貨マイニング事業に本格参入
企業のエネルギー戦略とデジタル資産へのアプローチが、一つの提携で交差した。
従来の枠組みを超える事業構想
三崎未来ホールディングスが科学技術系企業との協業により、蓄電システムと仮想通貨マイニングを融合した新事業を立ち上げる。これは単なる多角化ではなく、エネルギー管理と計算リソースの最適化を同時に実現する、次世代のインフラ投資モデルと言える。
「余剰電力」の価値を最大化する
事業の核は、蓄電池で平準化した電力を、高収益が期待できる仮想通貨のマイニングに振り向けるというシンプルな経済ロジックだ。電力需要の変動を自社で吸収し、その過程で生まれる機会を金融的なアセットに変換する―いわば、エネルギーを「貯金」するだけでなく「投資」する仕組みづくりである。
仮想通貨市場における新たなプレイヤー
この動きは、仮想通貨マイニングが大規模な資本を持つ従来型企業の関心を強く集めていることを示す事例だ。彼らはボラティリティに一喜一憂するトレーダーとは異なり、設備と長期運営という物理的基盤に基づいて参入してくる。一部のアナリストは「ようやく大人の資本が遊び場に降りてきた」と皮肉交じりにコメントしている。
収益構造の二重化を目指す
提携により、電力安定供給という従来型の公益的収益に加え、デジタル資産生成という新たな成長収益源の獲得を目指す。リスク分散という古典的な財務戦略が、最先端のテクノロジー領域でどのように機能するかが注目される。
再生可能エネルギーとブロックチェーンという二つの「未来」が、一つの事業体の中で実用的な利益を生み出そうとしている。成功すれば、それは単なる企業の業績向上を超え、産業のエネルギー消費モデルそのものに影響を与える可能性を秘めている。
電力革命「でんき0」で注目集める実業家
同提携では、三崎HDが保有する電力インフラに関するノウハウと設備供給ルートを活用し、エス・サイエンスの事業推進力と組み合わせる。業務提携の内容は多岐にわたる。蓄電池事業では、導入計画の策定から設備購入、運用体制の構築まで包括的に協議を進める。非FIT電力など制度に依存しない電力価値の活用も検討課題だ。
マイニング事業では、電力コストと設備効率を踏まえた事業性検討や、再生可能エネルギーとの組み合わせモデルを探る。AIデータセンター事業では、電力需要特性に応じた設備構成や蓄電池を活用したコスト最適化を協議する。各事業を具体的に実施する場合は、必要に応じて別途個別契約を締結する方針だ。
三崎氏は自身のX(旧ツイッター)で「三崎未来ホールディングスとエスサイエンスは業務提携契約を締結しました。エスサイエンスは、ビットコイントレジャリー事業に加え、電力関連事業を中核とした成長戦略を描いていきます」と投稿。「次のステージに羽ばたく大きな転換点」と位置づけ、1月20日に中期経営計画を公開する予定だと明らかにした。
本日18時の適時開示の通り、三崎未来ホールディングスとエスサイエンスは業務提携契約を締結しました
エスサイエンスは、ビットコイントレジャリー事業に加え、電力関連事業を中核とした成長戦略を描いていきます。
これは次のステージに羽ばたく、大きな転換点。中期経営計画は1月20日に公開です。 pic.twitter.cOM/bcXTEEoBJp
三崎HDは資本金1億円で、三崎氏が100%株主として保有する。今回の提携は、インフルエンサーとしての知名度と事業家としての実績を持つ三崎氏が、エネルギーと仮想通貨という成長分野の融合を図る戦略的な動きといえる。
三崎氏は「青汁王子」として知られる実業家で、YouTuberとしても活動している。1月13日には自らCEOを務める「でんき0株式会社」による新サービス「でんき0」を本格始動させたばかり。
【でんき0革命、始動】
本日より、日本の電気代構造そのものに声を上げる取り組みをスタートします。
電気代が高くなっている理由は、
値上げだけではありません。
再エネ賦課金、託送料など、
ほとんど知られていないコストが積み重なっています。
電気代について… Pic.twitter.com/zYLZ5dqQAn
蓄電池と太陽光発電の導入により電気代の最適化を図り、余剰電力を国の固定価格買取制度より高く20年間買い取る仕組みを提供する。三崎氏は「電気代の構造そのものを変える」として、「人生を賭けると決めた挑戦」と位置づけている。
ビットコイン戦略企業との相乗効果を狙う
提携相手のエス・サイエンスは、2025年12月に年間投資上限を撤廃し、中期的に1,000BTCの取得を目標に掲げるなど、デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)戦略を推進してきた。今回の提携により、仮想通貨事業に加えて電力関連事業を成長戦略の中核に据える方針だ。
ただし、DAT企業を取り巻く環境は厳しさを増している。DAT企業への資金流入は2025年12月現在、7月のピークから90%減少し、わずか13億ドルと年内最低水準に落ち込んだ。また、12月初旬には日銀の利上げ観測を背景にビットコイン価格が急落し、DAT企業の株価が軒並み10%前後下落する場面もあった。仮想通貨のボラティリティが企業価値に直結するDATモデルの脆弱性が改めて意識されている。
三崎氏はエス・サイエンスが発行した新株予約権を引き受けており、潜在株主にあたる。また同社のクリプトアセット事業開発担当室長にも就任している。エス・サイエンス代表の久永賢剛氏は電力関係事業への投資と事業展開に関する知見を持ち、三崎氏のネットワークと組み合わせることで、事業の立ち上げから収益化までの体制構築を目指す。
エス・サイエンス株価は急落、新株予約権の権利落ちが影響か
一方、業務提携発表を受けたエス・サイエンスの株価は1月13日、前日比29円安の184円と急落した。同社は同日、第10回新株予約権(株主割当)の行使価額を1株106円と確定したことも発表しており、1月14日が権利落ち日となったことが売り圧力となった。
同社は「中長期的には業績と企業価値の向上に資する」としつつ、2026年3月期の業績への影響は軽微と見込んでいる。新株予約権の基準日は1月15日で、三崎氏が中期経営計画を公開する1月20日に向けて、市場の注目が集まっている。