仮想通貨暴落、機関投資家が要因か?

2022/05/18著者:

最近、テラ(LUNA)やアルゴリズム型ステーブルコインUSTの暴落を受け、ビットコインも昨年最安値を1年半ぶりに割り込むなど、記録的な暴落をした。今、仮想通貨市場の暴落により、時価総額は昨年後半の最高水準から1兆2500億ドルも低下する中、ある疑問が浮かんでくる。仮想通貨暴落、機関投資家が要因の一つか?率直に言うならば、今回の暴落で、機関投資家が事態を悪化させているのだろうか?

仮想通貨暴落、機関投資家が要因か?

仮想通貨暴落、機関投資家が要因か?


2021年、暗号資産(仮想通貨)業界における機関投資家の参入が非常に注目された。テスラが15億ドル相当のビットコイン(BTC)を購入すれば、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど、ウォール街の銀行やヘッジファンドは、顧客資産をビットコインへと分配し始めた。機関投資家の登場は、メインストリームへの普及のサインであっただけではなく、価格を押し上げる要因と言われた。仮想通貨市場全体の時価総額は2021年、185%も成長し、市場は活況を呈した。そして今、仮想通貨市場の暴落により、時価総額は昨年後半の最高水準から1兆2500億ドルも低下した。では、機関投資家の資金はどのような役割を果たしているのか?

 

モルガン・スタンレーの最新のレポートでは、2021年には機関投資家が仮想通貨取引で支配的となっており、個人投資家による取引は、仮想通貨引所コインベースの全取引のわずか3分の1しか占めていなかったことが分かっていると、フィナンシャル・タイムズが伝えた。

 

フィナンシャル・タイムズによると、「顧客の関心は、ビットコインとイーサリアムという2つの主要仮想通貨にますます集中するようになっている」と、データ提供を手がけるバンダトラック(VandaTrack)のアナリストは指摘し、次のように分析している。

「この点が重要となるのは、より多くの機関投資家が、仮想通貨規制に関する大統領令のもたらす影響と、イーサリアムのイーサリアム2.0への移行を待つ中、仮想通貨の値動きは、TradFi(伝統的金融)資産に突き動かされ続けていくからだ」「資本の供給、そして金利に敏感な機関投資家の関与の高まりが、ビットコインと株式の相関係数の高さの一因となったと考えられる」と、バンダトラックは主張しているのだ。

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それはつまり、昨年の仮想通貨ブームを助けた機関投資家が、今では暴落の一因となっているということなのだろうか?「その通り」と、投資情報の提供を手がけるパス・トレーディング・パートナーズ(Path Trading Partners)のストラテジスト、ボブ・イアチーノ(Bob Iaccino)氏は語る。

「市場は成熟してきており、参加者の大部分は仮想通貨と伝統的資産のどちらにも投資している機関投資家であるため、そのように推定できるだろう」と、デジタル資産投資会社ビットブル・キャピタル(Bitbull Capital)のCEOジョー・ディパスカール(Joe DiPasquale)氏は述べる。「時間と共に仮想通貨市場では、過去のより長期間なものと比べて、より短期的に高値と底値が記録されるようになることもあり得る」と続けた。「それが、取引可能な資産の性質なのだ」とディパスカール氏は語り、「資産が売却される時は、すべての資産が売却される。ビットコインはしばらくの間、ナスダックと相関関係を見せ続けており、例外ではない」と説明した。

 

機関投資家と個人投資家の流入や流出を区別するのは簡単ではない。しかし時に、投資家自らが語ってくれることもある。投資会社ミラー・バリュー・パートナーズ(Miller Value Partners)の会長ビル・ミラー(Bill Miller)氏は、マージンコールに対応するために手持ちのビットコインの一部を売却した。市場が厳しい時には、非常に流動性の高い資産、この場合はビットコインを売りたいものだと、説明した。

 

コインベース・プレミアム


「コインベース・プレミアム」に目を向けてみよう。これは、コインベースでドルを使ってビットコインを買う場合の価格と、バイナンスでステーブルコインUSDTを使ってビットコインを買うのにかかるコストの差を表すものだ。仮想通貨市場アナリストは、この数字を見て、市場において機関投資家と個人投資家のどちらがより大きな勢力となっているかを見極める。コインベースのユーザーベースは、バイナンスと比べて機関投資家寄りであるというのが根拠になっている。プレミアムがある場合にはたいてい、機関投資家が市場を牽引している、ということを意味する。

 

しかし、クリプトクワント(CryptoQuant)のデータによると、最近では、このプレミアムがマイナスに転向。12カ月ぶりの低水準を記録している。「普通は、コインベース・プレミアムが存在する。つまり、コインベースでのビットコイン価格が、バイナンスよりも高いということだ。これは非常に大切だ。なぜなら、アメリカの機関投資家や富裕層は、コインベースで取引していたからだ。しかし(中略)ここ数日、マイナスに転じている。つまり、コインベース・プロでの大幅な売りを示唆している」と、クリプトクワントは説明している。「個人投資家から機関投資家まで、仮想通貨投資家は、テック株にも投資している傾向がある」と、仮想通貨についての教育を行うハワード・グリーンバーグ(Howard Greenberg)氏は語り、「彼らは、現在の業界をディスラプトするものとして、テクノロジーに対して強気な傾向があり、この重なりが市場に表れているのだ」と説明した。

 

特に市場が低迷する時に、そのつながりが強固になるようだ。機関投資家にとっては、1日24時間いつでもアクセスできる暗号資産ポジションは、他のポジションに比べて清算しやすく、最初に売り払われるポジションとなりやすいだろう。

 

結論としては、市場が厳しい時には、機関投資家が非常に流動性の高い資産としての暗号資産を売ることも一般的だから、今回仮想通貨の暴落は、機関投資家が市場を牽引しているともいえるだろう。

 

 

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